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「そっか、」とかえでちゃんが俯く。でも、その顔はさっきまでの暗い顔じゃない。ちょっと頬も紅くなってる。
「なんて、えへへ……一人で喋りすぎちゃった」
「うっ、ううん。すっごく嬉しい……かえでのこと、気にしててくれる人なんて、あんまり出会った事ないから……ゆんなちゃんがそう言ってくれて、元気が出たわ」
よかった。すっかり緊張がほぐれたみたい。それに、ちょっとは仲良くなれたかな?
かえでちゃんとお話ししながら歩いていると、不意に目の前のみらくんが足を止めた。
「わぶっ」
「あっ、ごめん!ゆんなちゃん!だいじょーぶ?!」
気づかずに背中にぶつかっちゃった。その衝撃で、弾かれたようにみらくんが振り返る。
「う、うん。だいじょうぶ……でも、一体どうしたの?」
言いながらみらくんの背中越しに前の方を見やると、そうめいくんがしゃがみこんで、何やら地べたのカーペットを手のひらで探ってる。
「うーん……なんか、開きそうな感じはするんだけどなあ」
そうめいくんは考え込むように少し顔を顰めながら、カーペットを引っ掻いたりしてる。と思ったら、よく目を凝らしてみて気がついた。カーペットに、正方形の細い溝のような線が見える。どうやら、あそこに扉か何かあるんじゃないかって思ったみたいだ。
そうめいくんは溝に爪を引っ掛けて、唸りながら精一杯力を込めて引っ張ったりしたけど、やがて参ったという顔をして言った。
「駄目みたい」
「施錠されてるのかもしれないわね。それか、なにか特別な仕掛けがあったりだとか」
「一旦、置いておいて、進むしかなさそうですね」
おりえさんとキョウくんが冷静に言った。キョウくんはそうめいくんのすぐ側で、両膝に手を置いて彼の手元を見つめている。
と、その時、突然誰かが「あっ!」と大きな声を上げた。
「なんだ、これ?このスイッチ!」
壁を指差してコウくんが言った。言われて目を向けると、確かにそこには赤くて小さな丸い、何か怪しげなスイッチがあった。
「押してみようぜ!」
「え、だ、大丈夫かな。危険じゃない?」
意気揚々と呼びかけるコウくんに対して、チヅルちゃんが眉を下げて言った。
「そうね、危険性が読めない以上下手に行動すると痛い目を見るわ」
おりえさんも拒絶した。でも、コウくんはムキになってしまったみたい。
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