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「君たちは友達同士なの?ここにはいつからいるのかな」
「あ、……はい、友達です!でも、お互いつい十数分前くらいにこの夢の中に気がついたらいて……そこから一緒にいますから、昔からの知り合いとかではないんです」
一瞬言い淀んだものの、はっきりと友達だと言い切ってくれたゆずに感動した。純粋に嬉しくて、彼女の方を振り向いてしまった。
そうなの?と聡迷くんが意外そうな顔をする。
「あまりにも仲良さげだから、昔からの友達なのかと思ったよ。でも二人とも年は同じくらい……で、いいのかな?」
「はい、もねと同じで、私も中学一年生です!」
「そっか。じゃあやっぱり俺が年上だね。二人とも、何かあったらいつでも頼って。俺達もついさっきこの夢の中で気がついたばかりで、あまり状況は飲み込み切れていないんだけど……」
と、そこまでいって聡迷くんが何か思い出したように口をつぐんだ。
享くんがじっと聡迷くんを見つめている。
「萌音ちゃん、柚希ちゃん。二人とも、ここにいるってことは彼女の友達……なんだよね」
一瞬間を置いて聡迷くんがほんの少し険しい顔をして言った。彼女、っていうのはきっと、聞くまでもなくカスミちゃんのことだ。
ゆずが頷く。
「はい、カスミちゃんは私のお友達です。それに、もねも」
言いながら、ゆずがボクを見やった。その顔を見て、ボクは肯定の意を示した。
「うん。カスミちゃんとは、小六の頃くらいから時々夢で出会ってて……」
「そうだよね。それじゃあ、もうあの子には会った?」
「はい。聞きました。カスミちゃんが私達を連れてきたって。本当はその時、他の人とも一緒だったんですけど……はぐれてしまったみたいで」
後半、不安そうにゆずが俯いて言った。「他の人?」と聡迷くんがおうむ返しに問う。
「うん、あと二人、一緒だったんだ。一人はゆずの知り合いの男の子だったみたいで、もう一人はボク達よりちょっと年上っぽい女の子、だったんだけど」
「そっか、そうなんだ……どのあたりではぐれたとか、心当たりはない?」
ボクの言葉に、聡迷くんは一瞬心配そうな顔をしたけど、すぐに表情を持ち直した。「えっと、」とゆずが顎に指を当てて思考しだす。
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