176話 ページ26
✳︎
医務室で一つのベッドを取り囲んでいるのは、モリー、ビル、ロン、ハーマイオニー、そしてマダム・ポンフリーの五人だった。
そしてベッドの中で眠っているのは、A。
「禁じられた呪文をかけるなんて──この子に、磔の呪文をかけるなんて──」
一際青い顔をしたモリーが、Aの頬を震える手で撫でながら心底憎そうに呟いた。
まるでお通夜のような雰囲気だけど、決して死んではいない。
マダム・ポンフリーの治療をしっかり受けて安眠中だ。
その時医務室のドアが開く音がして、全員が一斉に振り向いた。
「ハリー!!ああ、ハリー……!」
大きな黒い犬と共に医務室に入ってきたハリーに駆け寄ろうとしたけど、その間にダンブルドアが立ち塞がる。
そして、片手で制した。
「モリー、ちょっと聞いておくれ。ハリーは今夜、恐ろしい試練を潜り抜けてきた。それをわしの為にもう一度再現してくれたばかりじゃ。今ハリーに必要なのは、安らかに、静かに、眠ることじゃ。もしハリーが、みんなにここにいて欲しければ──」
ダンブルドアがロン、ハーマイオニー、そしてビルを見回す。
「──そうしてよろしい。しかし、ハリーが答えられる状況になるまでは、質問をしてはならぬぞ。今夜は絶対に質問してはならぬ」
モリーが真っ青な顔をして頷いた。
そしてロン達を、まるで今まで騒がしくしていたかのように、シィーッと言って叱った。
「……Aが眠ってて逆によかったかもな」
ロンの呟きに、モリーの鋭すぎる視線が突き刺さって、「冗談だよ」と慌てて訂正した。
しかし、あながち間違ってはいない。
彼女がここにいたら、質問をしない、なんてほとんど無理に等しいだろう。そしてそれを一番よく分かってるのも、ロンで間違いない。
「校長先生、一体これは──？」
「この犬はしばらくハリーのそばにいる。わしが保証する。この犬は大層躾が良い」
嫌そうに黒い犬を見るマダム・ポンフリーにダンブルドアがサラリと言った。
マダム・ポンフリーはハリーを部屋の一番隅のベッドに連れて行った。入り口に近いよりその方が静かだし、作業がしやすいと思ったのだろう。
しかしフラフラとAのベッドに近づこうとするハリーを止めるのに懲りて、結局Aの隣のベッドでハリーの治療を始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒猫_Kurone - 2人の仲がいいことがわかるイラストでめちゃ好き…。番外編も面白くて、わくわくしながら読んでます！作者さん、素敵な作品とイラストを提供していただきありがとうございます！！ (6月17日 15時) (
レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
黒猫_Kurone - ダンスパーティーで、フレッドの活躍や、主人公ちゃんがハリーの目の色に合わせて、ドレスを選んだというシーンとかめちゃ好きです！閑話のハリーと主人公ちゃんのイラストで、ハリーかっこよすぎて惚れるし、主人公ちゃん、天使…めちゃかわいい…(チーン (6月17日 13時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - ダイアナさん» コメントありがとうございます❕セドリックの最期は本当に切ないですよね😖 (6月5日 0時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - セドリックｳｳｳｳｳｳｳ (2023年3月3日 6時) (レス) @page30 id: 43545663d6 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みのみのさん» コメントありがとうございます❕私も、この炎のゴブレットがハリー・ポッター作品の分岐点のようなお話だと思っているので、とても嬉しいです!!イラストを公開するのが何気に一番緊張するので、ドンピシャと言っていただけると本当に安心します😖 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とま | 作成日時：2022年9月15日 17時
