170話 ページ20
ほとんど引きずるようにハリーを引っ張った、コツッ、コツッという足音。
──マッドアイ・ムーディだ。
『ま、待って………ハリー、いかないで───』
引きずられていくハリーに気づいたAが、驚くほどか細い声で言った。
それでも周囲の騒音より、何よりハリーの耳には痛いほど届いた。
満身創痍の身体で足を踏ん張る。
「ムーディ先生、僕行かない、ここにいる」
「いいや。お前は横になっていなければ……どうしてもと言うなら──」
そこで言葉を切ると、ムーディはセドリックの側で座り込んだAを肩を乱暴に掴み起こした。
「──シャフィック……お前も来い」
青い義眼がギョロ、とAを覗き込んで、涙で顔をぐしゃぐしゃにした彼女が息を呑む。
前からその目を怖がっていたAは、それでも青い義眼と真っ直ぐ目を合わせて立ち上がった。
それを"行く"と受け取ったムーディは勢いよく踵を返すと、再びハリーを掴んで歩き出した。
首に掴まれながら引っ張られて、ハリーが痛みに声を上げるたびにAがムーディからハリーを引き離そうと手を引っ張った。
『ハリーをいじめないで……!』
「A──」
「いじめてるように見えるか？黙ってついてこい、シャフィック」
Aは気が動転していて、マッドアイが完全に敵に見えてしまっているようだった。
手を握った方が安心させられるかと思ったけど、今自分の手はもはや彼女には触れられないくらいに血塗れだ。とてもじゃないけど、彼女の手を握ることはできなかった。
ムーディはそのまま二人を引っ張って自分の部屋に入った。
多分Aは初めて入る部屋だけど、ハリーは前に一度入ったことがある。第一の課題の前だ。
狭苦しくて、よくわからない物がそこかしこに置いてある。
大きな箱の隣に置かれた椅子に座るようAに促した後、ハリーは背後で扉に鍵がかかる音を聞いた。
『私じゃなくてハリーが座るべきよ』
「大丈夫」
『私の方が大丈夫だって言ってるの、お願い』
「………平気だから。Aだって、もう立っていられないだろ」
きっと、セドリックもそう言うだろう。
どんなに怪我が痛くとも、今すぐ気を失ってしまいたい程疲弊していても。
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黒猫_Kurone - 2人の仲がいいことがわかるイラストでめちゃ好き…。番外編も面白くて、わくわくしながら読んでます！作者さん、素敵な作品とイラストを提供していただきありがとうございます！！ (6月17日 15時) (
レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
黒猫_Kurone - ダンスパーティーで、フレッドの活躍や、主人公ちゃんがハリーの目の色に合わせて、ドレスを選んだというシーンとかめちゃ好きです！閑話のハリーと主人公ちゃんのイラストで、ハリーかっこよすぎて惚れるし、主人公ちゃん、天使…めちゃかわいい…(チーン (6月17日 13時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - ダイアナさん» コメントありがとうございます❕セドリックの最期は本当に切ないですよね😖 (6月5日 0時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - セドリックｳｳｳｳｳｳｳ (2023年3月3日 6時) (レス) @page30 id: 43545663d6 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みのみのさん» コメントありがとうございます❕私も、この炎のゴブレットがハリー・ポッター作品の分岐点のようなお話だと思っているので、とても嬉しいです!!イラストを公開するのが何気に一番緊張するので、ドンピシャと言っていただけると本当に安心します😖 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とま | 作成日時：2022年9月15日 17時
