168話 ページ18
マーチが鳴り止んだ。歓声も止んだ。
違う。聞こえなくなったのだ。
低く籠る、気持ち悪い耳鳴り以外には何も聞こえなくなった。
セドリックはまだ一度も、瞬きをしていない。
『私、こういう冗談嫌い……うそだよね？だって、そんなはずない』
「A……」
『セドリック、私に言ったの。伝えたいことがあるって、優勝杯を持ち帰ったら、伝えたいことがあるって──そう言ったの』
「A、ハーマイオニー・グレンジャー達の所に戻るのじゃ………戻りなさい」
『セドリック……セドリック──私に伝えたいことって、なに？』
ダンブルドアの静止も聞かずに震える歩調でセドリックに近づくと、そばでガクリと力無く膝を着いた。
Aが震える手をセドリックの頬に伸ばす。頬に触れると、ヒュッと息を呑んだ音が聞こえた。
Aの顔から血の気が引いて、碧い目を呆然とさせた。
──信じられないほど、冷たい。
『……セドリック、ハリーと一緒に優勝だなんて、凄いね──おめでとう』
『ほら、覚えてるでしょ？セドリックが言ったんだよ。もし優勝杯を取ったら……って。セドリック、私、今聞いてあげるから』
『セドリックが、こんなに寝坊助さんだったなんて、私……知らなかった……ロンといい勝負』
Aの瞳に溜め込んだ涙が、もう一度でも瞬きをしたら、全て零れ落ちてしまうようだった。
段々と言葉は途切れ途切れになって、呼吸は浅くなり、顔は悲痛なほどに歪んでいく。
『お願い………答えて……お願い、お願い──』
「……A」
『生きてる………って、言って』
「───A………」
絞り出したような掠れたハリーの声に、Aが顔を上げた。
ボロボロ、血塗れのハリーと、大粒の涙を零すAの目があった。
『ハリー………ハリー、酷い怪我……今治してあげるね、それにしても二人で優勝だなんて、私びっくりしちゃった……!』
「………」
ローブから杖を出すのに、Aは三度も杖を取り落とした。
震える手でハリーの足や顔を傷に魔法をかけて、ゆっくりとその目を伏せた。
『………セドリックも治してあげなきゃ』
「A、」
『大丈夫、私が治してあげる。得意だって言ったでしょ？───
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黒猫_Kurone - 2人の仲がいいことがわかるイラストでめちゃ好き…。番外編も面白くて、わくわくしながら読んでます！作者さん、素敵な作品とイラストを提供していただきありがとうございます！！ (6月17日 15時) (
レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
黒猫_Kurone - ダンスパーティーで、フレッドの活躍や、主人公ちゃんがハリーの目の色に合わせて、ドレスを選んだというシーンとかめちゃ好きです！閑話のハリーと主人公ちゃんのイラストで、ハリーかっこよすぎて惚れるし、主人公ちゃん、天使…めちゃかわいい…(チーン (6月17日 13時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - ダイアナさん» コメントありがとうございます❕セドリックの最期は本当に切ないですよね😖 (6月5日 0時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - セドリックｳｳｳｳｳｳｳ (2023年3月3日 6時) (レス) @page30 id: 43545663d6 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みのみのさん» コメントありがとうございます❕私も、この炎のゴブレットがハリー・ポッター作品の分岐点のようなお話だと思っているので、とても嬉しいです!!イラストを公開するのが何気に一番緊張するので、ドンピシャと言っていただけると本当に安心します😖 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とま | 作成日時：2022年9月15日 17時
