166話 ページ16
✳︎
試合が始まってから、どれだけ時間が経っただろう。
夜も深くなってきた時、やっと空の色以外の変化が見えた。
てっきり迷路のどこかの出口から出てくると思っていた選手は、何と競技場に急に現れたのだ。この登場には見覚えがある──移動キーだ。
途端に爆発的な歓声が湧いた。
演奏団のマーチが鳴り響いて、観客席の生徒達は優勝杯を取って戻ったのはどっちだ、と身を乗り出したり、前に進んだりてんやわんやだ。
「ハリーよ……!!見て、ハリーだわ!!」
「いや、よく見ろ──ディゴリーもいる!!ほら、ハリーのすぐ近くに──」
『二人？二人で同時に優勝杯を取ったってこと？と、とにかく前に行って見なきゃ……!!』
興奮気味のAに手を引かれて、人混みをかき分けて観客席の前につくと、ぴょんぴょんと飛び跳ねていたAがピタリと止まった。
「？A、どうした？」
『………私、おめでとうって言ってくる!!』
「──え、A？」
「あ──!おい……!」
ロンとハーマイオニーが呼びかけた時には既に、Aは観客席から降りようと走り出していた。
『(──ハリー……セドリック……!)』
どちらか一人しか優勝できないと思ってた──だけど、ハリーとセドリックは二人で帰って来たのだ。
感動と興奮で、今までにないくらい胸が高鳴っている。ホグワーツの二人が、本当にやってくれた──!!
二人はもうすぐそこ、というとき、周囲の様子がおかしいことに気づいて、走る速度を緩めた。
「あの人が戻って来たんです──戻ったんです」
ダンブルドアに何かを必死訴えるハリーの声が、微かに聞こえた。
『ハリー……!セドリック………!』
「──A、生徒は降りて来ちゃいけない。戻りなさい」
ファッジ大臣が、なぜか恐ろしいほど狼狽えながらそう言った。
優勝杯を持って帰って来た選手を迎えるにしては、おかし過ぎる様子だ。
『私、おめでとうを言いに来ただけです。ちょっとだけ──』
「駄目だ、戻りなさい、A」
『そんな、どうして？でも、ほら、もう皆きっと降りて来ちゃうし──』
そう言って観客席を振り返ると、案の定生徒は競技場に降りたがって動いていた。
ファッジがそれを見て、せかせかと少し離れたところにいるスネイプ先生に何か言った。
そしてスネイプが、すぐに生徒たちをその場に留まらせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒猫_Kurone - 2人の仲がいいことがわかるイラストでめちゃ好き…。番外編も面白くて、わくわくしながら読んでます！作者さん、素敵な作品とイラストを提供していただきありがとうございます！！ (6月17日 15時) (
レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
黒猫_Kurone - ダンスパーティーで、フレッドの活躍や、主人公ちゃんがハリーの目の色に合わせて、ドレスを選んだというシーンとかめちゃ好きです！閑話のハリーと主人公ちゃんのイラストで、ハリーかっこよすぎて惚れるし、主人公ちゃん、天使…めちゃかわいい…(チーン (6月17日 13時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - ダイアナさん» コメントありがとうございます❕セドリックの最期は本当に切ないですよね😖 (6月5日 0時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - セドリックｳｳｳｳｳｳｳ (2023年3月3日 6時) (レス) @page30 id: 43545663d6 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みのみのさん» コメントありがとうございます❕私も、この炎のゴブレットがハリー・ポッター作品の分岐点のようなお話だと思っているので、とても嬉しいです!!イラストを公開するのが何気に一番緊張するので、ドンピシャと言っていただけると本当に安心します😖 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とま | 作成日時：2022年9月15日 17時
