男子校なのにモテ期がきてしまった! ページ16
最悪だ、舜に怒鳴ってしまった。
目の前でポカンと口を開けている舜、俺は急に気まずくなり慌てて舜の肩を押し、部屋から飛び出すように走った。
何処まで走ったのだろう、辺りはオレンジ色に染まってる。
俺の目は腫れたままで、好機の目が俺の姿を捉えて離さない。
心配の目から笑いの目、様々だった。
人気のない路地裏に入り、ゴミ捨て場の隣に座り込む。
目前の店から匂う香りが鼻を擽る、だが頭の中では舜に謝らなくてはと、そんな事ばかり考えていた。
また、鼻の奥がツーンとする。
何故いつも素直になれない、何故いつも上手くいかない。
心が痛くなった、その刹那
「A?」
「…あ?」
ガチャりと扉が開き、ゴミを持った十神が店の中から出てきた。
いかにもウエイターという格好をしている。
ジーっとその姿を目に焼き付けていると
「何かあった?目が腫れてる」
肩に置かれる手と目元を撫でる指、ビクンと肩が跳ね、思わず片目を瞑る。
十神の指は優しく、また鼻の奥がツーンとした。
「コンビニから舜が女と出てきた、腕組んで仲良さそうに、見てただけなのにずっげぇ胸が痛くなって…思わず逃げちまった」
泣きそうな勢いで十神に全てを話す。
真剣な目で聞いてくれる十神の姿に胸がドキッと高鳴った。
言葉を上手く紡ぐ事が出来ず、途切れ途切れの言葉だったが、十神に全てを話終えた後、何故か心がスッキリした気がした。
「お前に話したらスッキリしたわ、やっぱ良い奴だなお前、じゃ帰るわ」
あまり此奴を引き止めておくのも悪い、そう思い踵を返して帰路へと歩みを進めたのだが
それは十神の手によって阻まれた。
「良い奴止まり?」
「え?」
いつもより近い位置にある十神の顔、最近の十神は雰囲気が変わり、何処か大人っぽくクールで前のようにはしゃぐ事も最近はしなくなっていた。
だから余計なのかもしれない、こんなにも胸が高鳴るのは
「好きなんだけど、Aの事が」
手首を掴んだまま、十神は俺の瞳を見ながらそう言った。
なんとなく予想はしてた、この雰囲気と二人きりのこの状況。
少なくとも俺は弱ってる、告白するには最適。
やはり、十神の好きな奴は俺だったんだ。
「ごめ」
「いいよ、その代わりまた今度一緒にカラオケ行こうな」
ニコリ、そう笑った十神。
だが、申し訳なくて十神の目を見れなかった。
「悪く思ってんなら、1個お願い叶えてくんない?」
「…何だよ」
「バイト、今人数足んねぇの、助っ人いい?」
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作者名:yuno | 作成日時:2018年12月31日 11時