【まふまふ】そくばくおうじ 。

11:ほんねのおうじ ページ12

【まふまふ】






僕の、あたらしいともだち

Aちゃん。




こんな僕に手を差し伸べて、

笑ってくれたAちゃん。




ぼくが必要だって

そう言ってくれたAちゃん。








｢Aちゃん、だいすきだよ。｣

｢知ってるよー。何度も聞いてる｣

｢Aちゃんは？｣

｢……。｣




Aちゃんは、いつもぼくに｢大好き｣といってくれない。
それどころか｢好き｣もいってくれない。

でもぼくは知ってるんだ。



恥ずかしくて、言えないんだもんね？


本当は、僕のこと好きなくせに。








｢僕のこと好きでしょ？｣

｢うん。｣

｢じゃあ好きって言ってよ。｣

｢……。｣

｢ふふ、可愛いなぁ、｣









Aちゃんは可愛い。

本当に可愛いなぁ。




僕が人見知りだってことは、
Aだけしか知らない。

それと同じように、僕だけしか友達のいないAの可愛いところは、僕だけが知ってる。
そんなフェアな関係。







Aちゃんは、僕の人見知りを治したいらしいけど、

僕は別に、Aだけが僕を知っててくれたら、それでいいんだけどな。








｢ダメだよ。私も頑張るから、まふくんも頑張って！ 目指せお友達100人！……とまでは行かなくていいけど頑張ろう！｣

｢ハードル下げたなー｣

｢だって100はさすがに無理でしょ、うん。｣






僕は友達たくさん作りたいけど、
Aはお友達100人どころか、
1人も作らなくていいよ。


作って欲しくないもん。


僕だけしか、Aの可愛いところは知らなくていい。









｢A。｣

｢ん？｣

｢初の名前呼びはどう？｣


｢違和感無い。｣







へへ、と笑うAちゃん。

こんな所を見れるのはぼくだけ。





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