【そらる】よく聞いて、男はみんな狼です。

32:泣いたのはわたしのせい ページ32

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そらるは絶対に成功する。
確かな証拠はないけれど、私は確信している。だからこんな大声で言ってるんでしょ。


そらるも、自分のことを信じないと。






そんな風な想いでかけた言葉。

そらるは、どう思ったのかわからない。
俯いた長い前髪から表情が読み取れることは無かった。




私が、普段恥ずかしくてかけれない言葉も全部言えてスッキリしたし、満足したからいいや。


そう思いながら前を向こうとすると









目の前が真っ暗になって

温もりに包まれた。









｢……っ、そらる、｣






抱きしめられている。

そう思うのには時間はかからなかった。







｢…………すこし、｣



なんて言ったそらるの声は震えていた。
鼻まですすって、


｢もしかしてそらる、泣いてる？｣

｢……。｣

｢そら、｣

｢うるせぇ。悪いかよ。｣







そらるの表情を見るために
顔を上げようとするけど、
そんな私をそらるは強引に引っ張り、胸へと戻す。


一瞬見えたそらるの瞳には、光るものがあった。







｢………… お前に泣かされたんだ、文句あるかよ。｣

｢……え、本当に泣いてるの？｣




｢うるさい、お前はいつも俺の妹が泣いたらこうやって抱きしめてやってるだろ、｣









…………何言ってんだこいつは。

そらるの妹はまだ小学生。
小学生が泣いたら、抱きしめてあやすけれど
そらるは明らかにでかい。
私よりも、遥かにでかい。

それなのに、抱きしめろと？







｢……あの、そらる、もう大学生でしょ？ 私より歳上なんだから｣







私がそう言ってそらるから離れようとすると

｢離れるな、｣と


そらるは抱きしめる力を強くした。









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