【そらる】よく聞いて、男はみんな狼です。

27:分かってるんだけどね ページ27

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私のせいで何が起こるのか、知りたくなくて目を閉じていた。


しばらくしてなんの音もしなくなり、
うっすらと目を開ける。







倒れている、男。

息を切らしながら、その男を見つめるのはそらるだ。



｢……やっぱり、｣







昔もこんなことが何度かあった。

そらるは、自分のことを知らないような人達に自分の悪口をいくら言われても 怒らない。
いや、怒ってるのかもしれないけど
それを表に出さないで笑ってる。


だけど

私の悪口を言われた時は、違う。





私の悪口を言っている奴らは、そらるにばれるといつもこのザマだ。








やっぱり、いくらなんでもここまでボコボコにされると可哀想。
でも私はそんな気持ちとは裏腹に




嬉しい、と少しだけ

ほんの少しだけ。





こんなことをされたら、誰だって勘違いをするだろう。
いつも怒らないそらるが私のために怒った。
私のことが、好きなのかもしれないって。






でも今ならわかる。

それは違うんだって。






分かってるけど、自分のためにそんなことされたら 誰だって嬉しいんだよ。









｢行くぞ。｣




そう言って、私の手を掴んだそらる。








｢…………ばか、｣







大好きだよ、この野郎。









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