【名探偵コナン】僕があいした、ただひとりの君へ【スコッチ】

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『それで...スコッチも、同じなんじゃないかって』
「何故そう思う？」
『...女のカン』



本当は他に理由があるのに、言うと都合が悪い、だから誤魔化した。そんな風にあっさりと見抜かれてもおかしくない解答をすると言う事は、察した上で目をつぶれと言う事か。



「それじゃあダメだな」
『...秀(シュウ)、』
「A、いい加減にしろ...お前がしている事は、奴を好いていい理由を探しているだけだろう」
『そうじゃなくて！』


キッ、とブレーキを踏みスピードを落とした愛車が止まったのは、他の停止車なんて居ない交差点。信号は赤に変わったばかりだ。



「じゃあ何だ」
『もし！彼らがノックの疑いを掛けられて組織に追われるような事があったら...助けて欲しい』
「...何故俺が？」
『...可愛い妹分のピンチに不在だった埋め合わせ』



自分で言うなよ、と再びタバコを取り出し火を付ける。


「俺はお前の兄になった覚えは無いんだが」
『既に2人居るんだから1人増えても変わらないわよ...とにかく、私は彼らに救われたの。いざとなった時...見殺しにはもう出来ない』



だから、お願い。そう言って見上げてくる瞳。




何だかんだ言って、自分も彼女には甘いな、と紫煙を溜息と共に吐き出して、赤井はアクセルを踏んだ。



「...まぁ、彼らは戦力になりそうだからな」
『！...ありがとう』



そう言って眉を下げたAは、暫くすると寝息を立て始める。









「...俺も、これでも...願っているんだ、お前の幸せを」



既に夢の中の彼女に聞こえないのをいい事に、本音を呟く。



元英国籍で、なのに和名。
目的の為に米国籍を手に入れて、同時期に同じ職種に着いたなんてシンクロ、滅多に無い。



2つ歳下の彼女とは、もう5年以上の付き合いになる。信頼も、親愛もある。先程は否定したものの、家族愛のような、彼女の言葉を借りるなら兄妹愛のようなものが、確かにあった。




だからこそ、願っていた。



「お前を幸せにしてやれる男が...奴だったらいい、とは思うよ」


2人の間で何があったのか、全てを知っている訳では無い。けれど、ロスで何があったのか教えてくれた彼女の、スコッチの事を話す時の顔を見たらーーーもう何も言えなかった。




けれど、己に出来ることはただ祈るだけ。



思ったより小さな声になった事を誤魔化すように、彼はスピードを上げたのだった。

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