【名探偵コナン】僕があいした、ただひとりの君へ【スコッチ】

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別段、彼女に興味を持った訳ではなかった。
ジンやベルモットのように組織の中核な訳でも無さそうな、何処にでもいる色香要員、そう思っていたから。



だだ、次の任務がペアで、少し前にスコッチが組んだと言うから、どんな奴かと簡単に尋ねたら、思ったより柔らかい表情で答えられたものだから、少し眉間にシワが寄ったと思う。


かかったのか、コイツ。敵陣で何してるんだ、そう思ったのが最初。
だから、自分の中で要注意人物にしただけだ。



実際に任務を共にしてみれば、確かに腕は良かった。自分の魅力を最大限に活かして、男から情報を聞き出す。
綺麗な顔をしているし、ドレスに包んだ身も抜群のプロポーション。仕草1つに色気を含ませる事もさらりとやってのける。己をよく理解していて、頭の回転も早いと思った。



けれど、それと同時に気づいた事がある。恐らくだが、彼女はどちらかと言えば男嫌いだ。
誰もが向けられたら、ころりとやられそうな表情。顔を赤らめながらターゲットに迫る姿を横目に、それがどうしてもアーティフィシャルにしか見えなかった僕は皮肉れているのか否か。


いや、僕に大しては極力ドライだったからあながち間違っていないだろう。それに迫っているように魅せて、決して相手のペースには呑まれない。それが、"絶対に男の好きなようにはさせない"というプライドのように見えたし、一線を引いているように見えた。それはきっと、肌が触れているとか触れていないとかじゃなくて、精神的なもの。
実際、いくつかカマをかけたり煽ってみたりしたけれど、どれもこれもあっさりと躱されて少し面白くなかったのも事実で。



だからこそ、彼女がスコッチの事を家に招いてあまつさえ、泊めたなんて聞いてしまったら。
あぁ、きっとその狭すぎるパーソナルスペースにもう片足突っ込んでいるんだって言われたも同然で、それは酷く僕を焦らせた。



何も恋愛するななんて言わない。国を守る前に、大切な人1人くらい作ったっていい、お前ならきっと上手くやる。




けどさ景光(ヒロ)、彼女はダメだ。辞めてくれ。お前は優しいから、いざとなったら自分が犠牲になってでも助けてしまうんじゃないかって、そんな不安に駆られるんだ。




彼女には、そうやって人を虜にする何かがある。魅せてしまう。それに僕は、少しの恐怖心すら覚えたんだよ。



ならばいっそ、任務で失敗して散ってくれたらいいのに、なんて黒い感情が渦巻いたのに。





何で僕は、助けたんだろうな。

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