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『すみません、落し物を拾ったんですけど、』
「あ、ありがとうございます」
ガラリと扉を開け交番へと入れば、椅子に座って書類を見ていた2人の警官が振り返る。
ウェーブがかった黒髪と、金髪の彼ら。
随分若いな、というのと、金髪の方は地毛か、ハーフなのかな。それが第一印象だった。
鞄から件の財布を取り出し机の上に置けば、中身、拝見しますね、と愛想良くニコリと笑った金髪の彼が手に取った。
「じゃ、お姉さん、書類1枚書かなきゃなんねーからこっち座ってもらえる?」
「おい、真面目にやれ松田」
それに苦笑いを返しながら、彼が取り出した書類を見れば"拾得物件預り証"の文字。あぁ、数ヶ月経って持ち主が現れなかったらというアレか、と思いながら無知なフリをした。
『あの、これって?』
「あぁ、知らねーの?3ヶ月以内に落とし主が現れなかったら、財布の中身があんたの物になるっていう証明書」
『へぇ、そうなんですね...それって、放棄できるんですか?』
「は?」
東京には旅行で来ただけだから、明日には帰ると伝えれば納得したのか、放棄は可能だと教えてくれた後、彼はペンを置いた。
「Heroin...?」
『!』
「はぁ?ヒロイン?何言ってんだ降谷」
財布の中身をトレーに出していた金髪ーーフルヤと呼ばれた彼が、どうやら先ほどの白い何かを発見したようで。
『あの、先程の拾得権を放棄したなら、私はもう帰ってしまってもいいですか?まだ観光したいところがあって』
「あ、あぁ。構わねぇけど、」
「...1つだけ、聞いてもいいですか?」
スッと目を細めたフルヤさんに、引き止められた。面倒だな、やっぱり届けなきゃ良かった。推定年齢と交番勤務からして警察学校を出て間もないだろうに、どうやら日本警察も優秀のようだ。いや、もしかしたら、イギリス人とのハーフである彼が特別優れているのかもしれないけれど。
「貴方、中身は見ました?」
『...そんな事ですか。まさか。見るからに財布だと分かるものなのに、ワザワザ人様の中身を確認しようなんて思いませんよ』
「確かに。では何故、先程貴方は鞄から
思わず、口角が上がらないように努める。
困ったな、そんな楽しそうな好戦的な目を向けられたら、余計な事を言ってしまいそう。
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えぬ(プロフ) - ユナさん» 初めまして!いつも楽しく見させていただいてます!あの、新しい小説のリクエストってしてもよろしいでしょうか? (2022年6月1日 22時) (レス) id: 619e2b7b7b (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ムスメ3さん» 見返し!!ありがとうございます(´TωT`)間が空くと分からなくなりますよね、すいません(´TωT`)コメント凄く励みになって嬉しいです!ありがとうございますm(_ _)m (2019年10月28日 1時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - 久しぶりに見返しました!とても面白いです!これからも更新頑張って下さい! (2019年10月27日 23時) (レス) id: 64e9274118 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ムスメ3さん» コメントありがとうございます!間空いてしまってすみません!イチャついてから完結させますのでまたお付き合い頂けると幸いです! (2019年10月27日 9時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - どうなっちゃうのか楽しみすぎます!頑張ってください! (2019年8月24日 22時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2019年7月29日 11時