【名探偵コナン】僕があいした、ただひとりの君へ【スコッチ】

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うだるような暑さが続く夏だった。



日本は好きだ。四季がはっきりしていて観光地にはうってつけの場所がゴマンとあるし、世界的に見ても治安の良い国TOP10に入る、平和な国だから。


初めて訪れたのは、カレッジ在学中の夏休み期間だった。友人と観光しようと張り切って、あちこち新幹線で移動した記憶がある。



そして2度目。卒業後、民間会社で3年間就労した後。無事に審査を通過し、FBI訓練学校でのトレーニングを終え、捜査官の仲間入りを果たした年。配属前に数日間の休暇があり、それを利用して降り立ったのは東京。


自身に流れる血の半分は日本のそれだが、生まれは欧州、育ちは欧米となってしまったから、もっと身近な国に感じたくて、機会を作ってはまた来よう、そう楽しく一人旅を満喫していた。


ふと、渡日する前に、少し年上の同僚となった男から言われた事を思い出す。


"ただの旅行客ではなくなったんだ。もし行き先で事件に巻き込まれても、一般人のフリをしろよ"




『(分かってますよ、と、)』



そうそうそんな事にはならないとは思っていたが、仮に銀行強盗に巻き込まれようが、ひったくりに合おうが、大人しく年相応の女性として振る舞おうと決めていた。
将来、任務で日本に来る可能性もあるし、身分証明書に1つの手帳が加わった今、目立った行動はしないつもりだ。



だから、今しがたぶつかった男から、独特のヤクブツの匂いがしようが、スルーするつもりでいた。スリにあったわけでもない。けれど。



かすかな落下音にふと足元を見れば、先程の男のものだろう、財布が落ちている。
当の本人は気づく様子も無く、フラフラと裏路地に入ってしまったし、親切心で追いかけるつもりもない。面倒事に巻き込まれるのはごめんだ。



『(確か数十メートル前に、交番があったけど、)』


問題は、1つ。

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