【d！】彼女はまるで屠所の羊 (ページ29)

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羊が２９匹ページ29

昼休みはなんとか生き残り、午後の授業も終え、放課後になった。

「ふぅ……今日はどっと疲れたわね……」

久々の学校ということもあるが、一番はゾムからの食害だろう。

私はあの時、絶対にゾムと昼食を食べないことを心の中で誓った。

今日はもうさっさと帰ってこの間またゾムが持ってきたゲームでもしようかな。

そんなことを考えながら昇降口まで歩いていると、

ピーンポーンパーンポーン。

という放送を知らせる音のあと、放送が流れ始めた。

「え～……、三年、麻野Aさんは、至急生徒会室までお越しください」

呼ばれたのは私だった。

……私何かしたっけ？

今日は出来るだけ穏便に過ごしたはず、、、、いや、坂崎さんとは口論になったし、ゾムにお姫様抱っこされながら全速力で廊下を走ったし……。

これ、全然穏便じゃないじゃない！！

もしやかなりマズイ状況なのでは！？

停学明けくらい反省の色を見せ、問題ごとを起こさないつもりだったのに！

……こうなったら、先に帰ってました戦法で行くか……？

この際、放送するのが遅いんですとか言っておけばいいのでは。

「よし。そうとなれば私はもう帰ろう。
　確か冷蔵庫にプリンが入っていたはず……よし、あれ食べよう」

待ってなさい！私のプリン！

なんて現実逃避をしながら靴を履こうとした瞬間、肩辺りがズシっと重くなった。

恐る恐る振り返ると、ゾム……ではなく、糸目の男が立っていた。

「……あんさん、麻野Aさんやろ？
　すまんなぁ、君には生徒会室まで来てもらうめう！」

そう言われ、気がつけば生徒会室前に来ていた。

……え？何で？