thirty-three ページ33
『ごめん…』
申し訳なさそうに呟いた
『私まだ章ちゃんのこと忘れられへんねん、おーくらに嫌な思いさせた無い。おーくら良い奴やから』
『だから、おーくらにはもっといい人がいるから』
『私なんかよりほかの人好きになって』
そんな顔させたかった訳やない
笑って欲しい
『おーくら、今までありがとね』
立って遊園地を1人で歩くその背中がすごく寂しそうに見えて
手を伸ばしたけど
あいつ意外と歩くのはやいねんな
ほっそい腕を掴むことなく、俺の右手は空を切った
それでもどうか、君の目に俺が移りこめばいいと
「A!」
「俺、お前がなんて言おうとAが好きやから。ヤスんこと好きでもええ。いつか絶対俺だけしか見えへんようにする。せやから待っといて!!」
止まってくれない後ろ姿にそう叫ぶ
なんだかどこかに行ってしまうような
そんな気がしたけど
さすがに仕事場は変えられへんだろう、最悪会いに行けばいい
そう思ってた
**
「おい。大倉。お前Aになに言うたん」
「へ?」
久しぶりにeightに顔を出せば
俺の顔を見て眉間にシワを寄せるすばるくん
ずかずか近寄ってきて、俺よりちっちゃい身長で見上げながら
すごい剣幕で捲し立てる
「とぼけんな。Aのことや。あいつ今までありがとうとか言うてそれからずっとeight来てないねんで!!あの日お前Aと遊園地行ってんやろ!?何したん!」
「え…来てへんの?」
「来てないわ!会社に見に行ってもアイツ辞めたとか言われるし」
なんやねん、と頭をガリガリ掻きむしるすばるくん
会社をやめた?
Aが消えた?
確かにあのとき今までありがとうって俺も言われて
なんか消えてまうような嫌な気がした…けど
「お前あいつに何言ったんて。聞いてるやろ。答えろよ」
「あの日、ヤスに会うて…それで、教えてもろてん、ヤスとの事」
「それで?」
「それで…なら俺の事好きになりって。俺なら大事にするからって」
途端、すばるくんがぐっと俺を睨む
「それ、どれくらいの覚悟で言うてるん」
「え?」
「俺は、あいつのためならなんでも出来る。それくらいの覚悟であいつを抱いた」
「あいつのハジメテを奪ってもうた瞬間から、俺の人生アイツにやるって決めてんねん」
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しろ(プロフ) - スマホの画面の前で百面相してます((、とっっても面白いです!!!更新楽しみにしてます!!!久々に胸がギューってなる感覚に襲われてます!!!!ありがとうございます!!!!! (2019年8月4日 1時) (レス) id: 2553ba5fcd (このIDを非表示/違反報告)
応援人(プロフ) - おおお!!面白い方向に向かっている!!頑張ってください! (2019年6月1日 22時) (レス) id: 88d2144e7b (このIDを非表示/違反報告)
碧結(プロフ) - 応援人さん» コメントありがとうございます!!面白いと言われるとなんだか照れくさいですね笑 これからも楽しんで貰えるよう頑張ります!!よろしくお願いしますm(_ _)m (2019年5月26日 0時) (レス) id: e413d80d5c (このIDを非表示/違反報告)
応援人(プロフ) - 面白いです!わたしは基本的に自分の名前が出てくる小説は読まない派だったけれど、この小説…どんどん進みます!面白い!面白い!面白いです(大事なことなので3回言いました) (2019年5月25日 18時) (レス) id: 88d2144e7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧結 | 作成日時:2019年5月21日 12時