双子の憂鬱 ページ10
「雅樹、お前怪我してね？どうしたんだよ、そのほっぺたの傷。」
「ん？あぁ、これか。昨日Aと一緒に自転車で帰ってたんだけどよ、木の枝が俺のほっぺたの近くにあるの気付かないで避けられなくてな〜。それでこの有様、痛そうだろ。」
「あはは、確かに痛そうだな！絆創膏やろうか？優誠に持っとけって釘刺されてからずっと持ってんだけど。」
「何、貼ってくれんの？ありがとな！」
教室の前の方の席で、俺の双子の兄の
別に雅樹は宏誠の事を恋愛対象として好いている訳ではない。それは、双子の弟として俺がよく分かっている。アイツらはただ仲の良い親友としてあんな風に接しているだけだ。
だけど、どうしても俺は嫉妬してしまう。
雅樹と宏誠があんな風に仲良さそうに話しているところを見ると、まるで女のように胸がちくちく痛んだ。
見ていられなくて、俺は自分の机に突っ伏し寝たフリを決め込む。雅樹に話しかけられても宏誠に話しかけられても絶対起きてやるもんか、と心の中で叫びながら目を瞑った。
「お〜い、A。･･･Aってば、寝たフリしてんのバレバレなんだから起きろよ。」
寝たフリをしてわずか数秒、宏誠と良く似た声の持ち主に起こされた。正確には寝ていた訳ではないのだが。
「ん、宏誠･･･？じゃ、なかった。片割れの方だったか。」
「片割れ言うな、あのさ、後でちょっと話あるんだけど。･･･授業サボらねぇ？」
そう話しかけて来たのは、俺の好きな奴の双子の兄だった。名前は
それは誰にもバレてはいない。
万が一バレれば、きっと雅樹にも優誠にも、好きな宏誠にも軽蔑されてしまうだろう。
「授業サボるぅ？珍しいな、お前が授業サボるとか言うなんて。」
「別にいいだろ？こういう時もあるって。ちょっとぐらい付き合えよ。」
宏誠と良く似た笑顔を俺に向けてくる優誠。
やめてくれ、違う人だと分かっていても双子は双子だ。顔があまりに似ているもんだから俺の鼓動はバクバクと高鳴ってしまう。無念。
俺はそれを悟られないように、いつものような態度で答えた。
「･･･はぁ、しょうがねぇな。サボんなら早く行くぞ？」
そうして俺達は、授業をサボるべく教室から抜け出した。
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優桃(プロフ) - ゆーなさん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言って頂けると頑張ろうって思えます(*^^*)これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2018年1月21日 21時) (
レス) id: a4872d24e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな(プロフ) - 面白かったです！お気に入り登録しときました！これからも頑張ってください！ (2018年1月21日 21時) (レス) id: 9e3b82e97b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優桃 | 作成日時：2018年1月21日 21時
