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痛い、やめて、ごめんなさい。
今日も痛々しい程に辛い声が聞こえてくる。
どれほど大きな声で彼を罵倒し、痛めつけているのか。あの男の事は理解できない。
決まって夜に、弘樹くんの悲痛な叫び声が聞こえてくる。助けてあげたいが、自分にはどうする事もできない。
いつもそんな声が聞こえてきたら、私は耳を塞いでしまうのだ。

「弘樹くん・・・」

いたたまれなくなり、私は自分の部屋へ移動する。ベッドに腰をかけ小さくため息をついた。
すると少しして、彼の叫び声は聞こえなくなった。アイツが少し落ち着いたのだろう、ふと窓を見ると拡樹くんが部屋に入り電気を付けたのが分かった。
窓の向こうの彼と目が合う。
私は咄嗟にスケッチブックにペンで大きく言葉を綴った。

『大丈夫か?』

彼もスケッチブックを手に持ち、こちらに見えるように突き出す。
そこには本心ではないだろうが、『大丈夫です。今日はまだ軽い方なので。』と書いてあった。何が今日はまだ軽い方だ、あんなにも痛々しい痣や傷が出来てしまっているというのに。

私は窓を開けろ、というジェスチャーをする。
頭のいい彼はすぐ理解したのか、窓を開けてくれた。私も窓を開ける。

「弘樹くん、こっちにこれるか。」

「え?まぁ、これますけど・・・」

私は窓から少し身を乗り出し、彼に手を差し伸べる。すると彼は私の手を掴み私の部屋に入ってきた。着地すると同時に少しふらつく彼を支えながら、取り敢えずクッションを敷いた床に座らせる。

「すまない、君が暴力を受けているのを分かっていても助ける事ができなくて・・・」

私が俯きながらそう言うと、彼は両手をブンブンと振った。きっとそんな事ないと言ってくれるんだろう。

「そんな事ないです・・・!優しくしてもらって、話し相手になってくれて、僕、凄く嬉しいんですよ!?Aさんにそんな事言われたら僕・・・困っちゃいますよ。」

ほらやっぱり、そう言うと思ったんだ。
どこまでもこの少年は優しかった。

「あ、それと・・・今日のお昼頃、家に警察の方が来たんです。」

彼はポツリと呟く。
そうなのか、良かった。

『こちらのお宅から、何か不審な音がするとご近所の方から相談を受けておりましてね。少しお話を伺いたいのですが。』

『何も変わったことはありませんよ。』

『本当に?・・・君、大丈夫なのかい?』

父の目が、「本当の事を言ったら殺す」と言わんばかりの目をしていた。だから怖くて本当の事を言えなかったんだ。

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優桃(プロフ) - ゆーなさん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言って頂けると頑張ろうって思えます(*^^*)これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2018年1月21日 21時) (レス) id: a4872d24e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな(プロフ) - 面白かったです!お気に入り登録しときました!これからも頑張ってください! (2018年1月21日 21時) (レス) id: 9e3b82e97b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:優桃 | 作成日時:2018年1月21日 21時

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