33話 ページ35
史人side
「相変わらず照れ屋さんだな、相浦は。」
スマホの画面に広がる相浦の電話番号を見つめながら僕は微笑んでいた。
あの様子だと、何かあったのかな･･･
そんな事を考えていると、屋上のドアが開き声が聞こえた。
「おーい、史人。」
それは同僚でもあり、仲の良い友人でもある笹本だった。
ちなみに僕は電話をかけるために屋上に移動していた。色々聞かれたらマズいかなって思ってさ。
「さ、笹本。どうしたの？」
「ん？いや、テスト採点の休憩的な？お前が屋上に上がっていくの見えたからさ。」
そう言われて少しドキッとする。
もしかしたら電話、聞かれてたかもしれない。
･･･ていうか僕、普通に相浦の名前出して話してた気がするんだけど。
「誰かと電話してただろ？彼女か？」
そう言って笹本はニヤニヤと笑い僕を見つめる。その様子だと相浦とは分かっていない様だった。
「え？あ、そんなんじゃないよ。友達と。」
「チッ、なんだつまんねぇな。そういえばお前、彼女作らないわけ？」
笹本は手に持っていた紙パックのココアを飲みながら聞いてくる。
彼女、ね。
今はもう考えたくもないかもしれないな。
それに今は相浦が･･･
「え？」
「は？どうした？史人･･･って何か顔赤くないか？」
笹本はそう言って俺の頬に触れる。
僕はその手を反射的に軽く払ってしまった。
「あっ、ごめん･･･つい･･････って、僕は大丈夫だから！ほら、もう夏だし太陽にやられただけだよ！直射日光浴びすぎて顔赤くなっただけだしさ〜！」
そう早口で言い訳しながら、笹本の方を見ると少しだけ悲しそうに見えた。･･･けど気の所為だったのかな、今はもういつもの笑顔で笑っていた。
「そ、っか。だよな、もーすぐ夏っていうか夏休みだしな〜。最近めっちゃ暑くなってきたし熱中症には気をつけないとだよな！」
「え、あ、うん！そうだよね！」
「じゃあそろそろ俺は休憩終わらせてテストの採点に戻るから･･･お前も休憩は程々にしろよ？」
笹本はそう言って屋上から出ていった。
さっきの悲しそうな笹本の顔も気になるけど、今は何故か相浦のことで頭がいっぱいだった。
「なんで、こんなにあの子のこと考えてんだろうなぁ･･･？」
答えはもう分かってるはずなのに。
自分が、駄目だって抑え込んでる。
認めちゃ駄目だって言ってるようだった。
こんな掛け違えた感情にはまだ気付かぬまま、僕は明日を迎えるのだろう。
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優桃(プロフ) - 綾さん» 初めまして、コメントありがとうございます。こちらこそ、読んでくださって嬉しい限りです(*^_^*)これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします。 (2017年9月17日 11時) (
レス) id: ac3cfbc466 (このIDを非表示/違反報告)
綾 - とてもおもしろかったです。素敵なお話ありがとうございます！更新頑張ってください！ (2017年9月14日 21時) (レス) id: 9b5a4fb179 (このIDを非表示/違反報告)
優桃(プロフ) - あんみつクラゲさん» わざわざ読んでくださり、コメントまで本当に嬉しいです。ありがとうございます(*^^*)更新頑張ります！ (2017年8月22日 17時) (レス) id: 18d71c1466 (このIDを非表示/違反報告)
あんみつクラゲ(プロフ) - イベントご参加ありがとうございます。とても素敵なお話でした(*‘ω‘ *) 評価の方もさせていただきました。これからも更新頑張ってくださいね！ (2017年8月22日 15時) (レス) id: 0081b71d8d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優桃 | 作成日時：2017年8月21日 14時
