水を求めて3時間。3 ページ19
「ぷはぁ、生き返るぅ!!」
「元から生きてないでしょ」
ミロをがぶ飲みしてようやく喉が潤った。
いやぁ、ミロって素晴らしい!!
「…で?お前は今までどこに行っていたんだ」
ほっと一息ついて、私は慣れた手つきでペットボトルを片付ける少年に問う。
「兄貴さんのところにお邪魔いていました」
「なんであいつの所なんだ?」
なんでわざわざ「ヤ」のつく人達のところに逃げ込むんだ。
別に鈴芽のところでも良くないか!?
「まぁ別に鈴芽さんのところでも良かったんですけど、兄貴さんの所なら確実に水分が手に入るし、空調も効いてますからね」
「そんなんだったら私も連れていけよ!!」
買っている猫に裏切られた気分だ。
「え、冥界の主なのでこれくらいの事は自分でどうにかできると思ってたんですけど」
「なんだよその目!!やめろよ!!冥界の主をなんだと思ってるんだ!! そんな事出来たら苦労せんわ!!」
少年の中で「冥界の主」とは一体どんな存在として認識されてんだよ。
「って言うか、一応ミネラルウォーター買いだめして冷蔵庫の中に入れておいたんですけど…全部飲んだんですか?」
「はぁ?」
少年の言葉に思わず聞き返す。
冷凍庫にはミネラルウォーターなんて入っていなかったはずだ。
「どこにそんな物があったんだよ…ほら全部卵じゃねぇか」
そう言いながら私は冷蔵庫の扉を開ける。
ほれみろ、何処もかしこもお前のせいで卵だらけじゃねーか。
「えっ知らなかったんですか?」
少年は驚いてそう言うと冷蔵庫から卵をひとつ取り出し、コップのふちで割ったかと思うと、卵中身をコップに入れた。いや、正しくは注いだ。
「これ、ミネラルウォーターなんですよ?」
「知るかぁあああ!! 紛らわしいわ!! 何でそんなのに入ってんだよ!!普通にペットボトルでいいだろ!?」
しかも量少ないわ!! 呆れてものも言えないよ!!
「ちなみにこっちがオレンジジュースで、こっちがコーラです」
「わかるかぁあ!!!」
「いえ、常識です」
〜冥界の主観察日記〜
・冥界さんは非常識である
「いやいやいや…そんなのが常識である方がおかしいよ!!」
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黒猫柚月(プロフ) - 少年君、面白いです! (2016年5月26日 21時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜アルペジオ(プロフ) - たのしみにしてます!! (2016年2月26日 17時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
白桜 - とても面白いです!いつも読ませてもらってます。 (2016年2月11日 20時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - おもしろかったです!よかったら私の作品 見てください (2016年2月10日 15時) (レス) id: d722fb9a07 (このIDを非表示/違反報告)
sayaka(プロフ) - ヘモグロビンさん» いえいえ。ありがとうございます。 (2015年12月25日 20時) (レス) id: a1946caf5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でんでんむしの奇行種 x他2人 | 作成日時:2015年3月7日 20時