冥界の主と少年。 (ページ15)

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親戚の方々。2 ページ15

「ごめんねこの雀達は全部私の親戚なの」

「親戚多っ!!」

雀は申し訳なさそうにいうが、ツッコミどころありすぎるだろ。
こんなに雀が群がってたら当然、商品の米も無事な筈がない。

「!! じゃあ、うちに届いた米の米袋が破れてたのも…」

「えぇ!? や、破れてたの!? ごめんなさい!!」

納得したようにつぶやくと、鈴芽は驚いて「本当にごめんね」と言って米が一杯入った米袋をひと袋持ってきた。

「お代はいらないからね」

「いやお金取るとか言ったらおかしいからな!?」

目的は果たしたので帰ろうとすると鈴芽に引き止められた。

「せっかくだから私の親戚を紹介するね」

「あ、あぁ…」

まぁ友人の親戚なのに何も言わずに去るのはいささか失礼だろう。そう思って米袋をよっこいしょと地面に降ろした。

「えーとこっちが私の甥でこっちが叔母さん」

「どうも」

「で、このちょっとごっついのが従兄弟」

「よろしく…」

「でこっちがひいお婆ちゃん……あれ? あ、こっちがひいお婆ちゃんだ」

「自分でもわかってないじゃないの」

自分すらあやふやなのにどうやって紹介するんだ!!って言うかもしかしてこれだけの数の雀を一羽一羽紹介していくわけ？
私は今になってそれに気づいてしまった。
少年は元から気づいていたのか米袋をずるずる引きずって、帰ろうとしていた。
待って少年君置いていかないで!?
って言うかアイツあのまま引きずって帰る気か!? そんなんだったらいくら頑丈な袋でも穴があくわ!!

耳では鈴芽のあやふやな親戚紹介を聞きながら、頭の中はずっと米の心配をしていた。

✱

「米は無事か!?!?」

扉を勢い良く開けて、そう叫んだ。
ようやく鈴芽の長たらしい合っているかも分からない親戚紹介を聞き終えて、ダッシュして家へ帰ったのだ。

「おかえりなさい冥界さん。…扉はもう少し静かに開けてください」

少年は一通りの片付けを終えたらしく、ソファーに座ってゆったりと雑誌を読んでいた。

「お前…あのまま引きずって帰ったのか…？」

「いいえ僕にとって重すぎるので途中でタクシーに乗って帰りました」

「そうか…」

ずっと気になっていたことを聞くと少年は雑誌から目を離さずに答えた。
良かった…米は無事のようだ。
タクシーか… 小さいくせに贅沢なやつだな。

……ん？タクシーで…帰った…?

「……お金勿体無ぃい!!」

～冥界の主観察日記～

･冥界さんのお仕事放置のせいで家計はあまり裕福じゃない

「いやいや違うかね？」