お仕事放置。 ページ11
「そう言えば冥界さんって、一回も冥界の主らしいことしてませんね」
ソファーに寝転がって本を読んでいると、掃除し終えた少年がやって来た。
そしてまたもや面倒くさい質問をふっかけてきた。なんだよ、コイツはそういう役目なのか?
「最初にちゃんとしたじゃないか」
起き上がり、頭をポリポリとかく。
「最初はね。今は一日中家でダラダラしてばっかじゃないですか。ここ(冥界)の主なんですからもっとしっかりしてください」
「そんな事言うと逆にやる気が失せるんだよ」
あれ?このやりとり…なんか思春期の男子とオカンみたいじゃないか。
すると少年はハァ…と溜息をついた。
「ずっとそんなニートのような調子だと、いつか冥界の主の座から引きずり下ろされますよ?」
「え」
思わずドキッとした。
少年は構わず続ける。
「それに、まだあなたの姿を見たことがない心清らかな子供達が多いんですからね」
「え」
「冥界の主がこんな引きこもりニートだと知ったら、さぞかしショックを受けるでしょうね…」
「え、え、」
少年の言葉がグサグサと突き刺さる。
「つまり、あなたは子供達の夢を奪っているのと一緒です!」
「ぐはっ!!」
ビシッと指を刺され、言葉でノックアウト。
「…冥界さん 仕事放置してますね」
「ち、違う!! 仕事放置なんてしてない! 今日は有給休暇だ!」
「…冥界さんが冥界の主の座から引きずり下ろされても知りませんよ? あ、僕が代わりになりますんで、安心してください」
「逆に安心出来ないわ!!! って言うか私を引きずり下ろそうとしてるのは明らかにお前だろ!!!」
「……チッ」
「何その バレたか みたいなの!! って言うか舌打ちするなよ!!!」
この子まだ5,6歳なのになんでこんなに恐ろしいこと考えてんの!? 生きているあいだに一体何が!!
「それじゃぁ、冥界さん」
「なに」
ぶっきらぼうに聞き返す。
さあどんな質問をふっかけてくる!!
「今でも世界のどこか誰かが死んでいます。きっと毎日死者が冥界にやってくる筈です。なのに冥界さん、三日ほど仕事に行ってませんが、大丈夫ですか?」
「あ」
それを聞いた途端に、青ざめていくのがわかった。も、もう三日ったったの…? ま、まさか!そんなはずは…
「冥界さん、現実逃避してる暇があったら早く仕事に行ってください。後で困るのはあなたですから」
「あぁああ行ってきます!!」
〜冥界の主観察日記〜
・冥界さん時間の感覚がない
「いや あるからね?」
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黒猫柚月(プロフ) - 少年君、面白いです! (2016年5月26日 21時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜アルペジオ(プロフ) - たのしみにしてます!! (2016年2月26日 17時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
白桜 - とても面白いです!いつも読ませてもらってます。 (2016年2月11日 20時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - おもしろかったです!よかったら私の作品 見てください (2016年2月10日 15時) (レス) id: d722fb9a07 (このIDを非表示/違反報告)
sayaka(プロフ) - ヘモグロビンさん» いえいえ。ありがとうございます。 (2015年12月25日 20時) (レス) id: a1946caf5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でんでんむしの奇行種 x他2人 | 作成日時:2015年3月7日 20時