第26話 治癒 ページ30
玄樹くんの言う通りにしたら、手が温かくなって光ってる
「紫耀、ちょっとほっぺた切れてない?治してもらったら?」
「そう言う岸くんは大丈夫なの?」
「俺は平気」
「あ、じゃ、お願いしますっ」
ほっぺたをずいっとこちらに差し出す
恐る恐る傷に手をかざすと、傷が少しずつ消えていく
「うおぉっ……え、何これ、え、ん?」
「どした?」
「え、なんかさ……すごいよこれ、ふわ〜ってなって、綿あめみたい」
「わからんわっ」
「綿あめに包まれてる、みたいな」
「ベタベタ?」
「違う違う違う、ふわっふわ!」
「綿あめやなくて、綿で良くね?」
「あ、そっか」
『んっと、怪我は治ってる??』
「それはもう、バッチリ!でも、玄樹とは違う感じなんだよね」
「俺もやって!ここ痛い」
ほっぺたを指差すジンくん
………何ともなさそうだけど??
「神宮寺のは俺が治したばっかでしょ!しかも怪我してたの、そこじゃない!」
玄樹くんが膨れてる
「優太も、やってもらえばええやん」
「ん〜、そうだね。Aちゃんが大丈夫なら」
『大丈夫、痛いとこ見せて』
─────………………
「おぉ………あー……………うん、すごい」
「ゆうたぁ……」
「岸くん顔がキモい」
「や、だって、そうなるってガチで!廉と海人もやってもらって!」
「今どこも痛くなーい」
「良かったね」
いつも通りワチャワチャした会話を見ていたら、ジンくんが隣にいた
「気にしてたんでしょ?廉がAちゃん庇って怪我したこと」
よく見てるね
本当に、その通りなの
『うん……魔物が出た時にただの足手まといなのがずっと申し訳なかったけど、廉くんが怪我して、私にも皆を守れる力があったらいいのにって凄く思ったから、本当に嬉しい』
「Aちゃーんっ!」
『わわっ、海人くん⁈』
後ろから海人くんが勢いよく抱き着いて倒れそうになるのを何とか踏み止まる
「なんか嬉しい!」
「今までも仲間だと思ってたけど、もっと距離近くなった感じするよな」
『ふふっ、改めてよろしくお願いします!』
居住まいを正してペコリと頭を下げると、拍手が湧き起こる
「よっ、Aちゃん!」
「よろしくー!」
「頼もしいね!」
まだ分からない事もたくさんあるけど、こんなに素敵な仲間がいて幸せだと思った。
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時