第3話 格闘 ページ3
赤い目が暗闇で鈍く光る
どう考えてもヤバいパターンだ
そうとしか思えない
夢でも怖いものは怖い
手探りで地面を探ると木の棒があった
震える手でそれを掴む
──と、同時に
赤い目の何かが唸り声をあげて飛びかかってきた
木の棒でガードするも弾き飛ばされて地面に転がる
リアル過ぎるでしょこの夢!!
起き上がろうとするけど相手が速かった
鋭い爪で肩口を押さえ付けられる
痛い
赤い目の何かは、狼…っぽい獣
なんかただの狼じゃないような…
ってゆーか痛いんだけど
これだいぶピンチじゃない⁈
夢でこんなに痛いってアリなの⁈
獣が大きく口を開けた
何本も並ぶ牙が見える
意外と身体は動くもので、獣が襲いかかるのと同時に木の棒を横向きにして大きく開いた獣の口に押し込んだ
獣が牙で木の棒をバキバキと噛み砕きながら迫ってくるのを両手でどうにか押し返す
木の棒も力負けするのも時間の問題だ
夢とは言え、痛いのは嫌だ
覚悟を決めて、獣の腹部を思いっきり蹴り上げる
キャウンと声を上げて倒れた隙に立ち上がって距離を取る
起き上がった獣の目は怒りに満ちていた
あ〜怒ってる怒ってる
それなりに武器になりそうだった木の棒は、獣に噛み砕かれてボロボロ
他に身を守れそうな物を探したくても、逃げようにも、目を逸らした瞬間に飛びかかって来そうで出来ず、目を合わせたまま後ろに下がる
『うわぁっ』
木の根っこに足を取られて尻餅をつく
ジワジワと迫っていた獣がそれを見逃すはずもなく、あっという間に再び地面に縫いとめられ、獣の赤い目が目前にあった
────ねぇ、まだ覚めないの?
これ夢でしょう?
こんな夢じゃ、また明日寝不足じゃん
もう寝不足でいいから早く覚めてよ
痛いの嫌だよ
万事休す
これから襲い来るであろう過去最高の痛みを覚悟して目を閉じるしかなかった
────シュッ、ザシュッ
ギャァァァ
体が軽くなった
「おい、大丈夫か!」
目を開けると、赤いサーベルを持ち私を守るように背を向けて立つ青年がいた
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時