第12話 どうする? ページ12
どうしよう
話はついたみたいだけど、岩橋さんのおじいちゃんの家まで図々しくついて行く訳にも行かないよね
しっかりしなきゃ
分からないことはたくさんあるけど、まずは今後の身の振り方から考えないといけない
道中、魔物と戦うようだし、いつまでも私がくっついていたら足手まといになるだろう
『あ、あのっ』
視線が一斉にこちらを向いて、ちょっと怯むけど、挨拶とお礼は忘れずにしなさい、と、昔から言われて育ってきたので、まずお礼を伝えよう
誰に?という疑問はとりあえず見ないことにする
『皆さん、本当にありがとうございます。何か分かったら、次にお会いできた時にでも教えてください!』
「……Aちゃんは、この後どうするの?」
立ち上がって伸びをしていた平野さんが、目の前にしゃがんで目線を合わせる。真っ直ぐな眼差しが気まずくて視線を逸らした
『あの、この辺り全く分からないので、申し訳ないですけどどこかの町まで送っていただいて、あ、道を教えてもらってもいいですし、町に着ければ自力で何とかなると思います。ってゆーか、何とかします!』
「それはダメ」
え?
「もともと森で魔物の目撃情報や被害はあったんだけど、ここ半年ほど急激に増えてんの。町や村に張ってある結界を突破して侵入する例も出てきてる」
『それじゃ、安全な場所はないって事ですか?』
「そういうこと。対抗できるスキルがないと生き残るのは難しい」
狼みたいな魔物に襲われた事を思い出す
たまたま助けてもらえたけど、そんな偶然そうそうあるわけない
あの時の闇に光る眼が頭をよぎり、血の気が引く
「だーかーらー!一緒においで!最初からそのつもりで俺らは話してたつもりだけど?」
「そうそ、心配すんな、俺らつえーから!」
岸さんが、ニカッと笑う
「女の子1人守るくらい、余裕っしょ」
ジンさんと、その隣で岩橋さんも頷く
「はい、これどうぞ」
高橋さんに渡されたのは小さな花束
「俺、描いたものを具現化できるんだ。少ししたら消えちゃうんだけどね、出会った記念に」
『皆さん………よろしくお願いします!』
目尻に浮かんだ涙を隠したくて、花束を抱きしめながら深々と頭を下げた
「さーて、明日に備えてそろそろ寝ようや。Aちゃんも疲れとるやろ」
「そうしよう、明日またいろいろ説明するね」
緊張はまだ解けないけど、体の疲労には勝てず、あっという間に眠りについた
42人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時