第1話。 ページ39
「恥ずかしいからあっちに行ってて…」
そう恥ずかしがる彼女を後ろから抱きしめる。
「なんでだよ、見るくらいいーじゃん」
んーなんか新婚みたいでドキドキすんな。
おぼつかない手で料理をする彼女が可愛くて可愛すぎてついついちょっかいをかけてしまう。
「震えて手、切っちゃうかも…」
しばらくちょっかいを出しているとついにはこんな事を言いはじめたので俺は大人しくソファに寝転がることにした。
ここにきて4日が経った。
携帯を開くと学校の奴らからのラインで通知がえらい事になっていた。
俺はタクミにだけ返事を返し携帯を置く。
母さんは案の定、大激怒してたけど父さんからは特に怒られなかった。
でも、3日目の朝に「食材足りないだろ?」と大量のビニール袋をぶら下げてきた時、
「母さんは俺が説得しとくから好きなだけここを使え。」
「…おう」
「男なら大事な女は全力で守らんとな」
とキザなセリフを吐いていた。
父さんとは最近あまり話す機会が減ってたからなんだか照れくさかった。
自分もここバレたくねーくせになんて悪態ついたけど、俺のやることに絶対ノーと言わない父さんを俺は結構好きだったりした。
「田ノ浦くん…起きて」
彼女のその声で自分が寝てしまったことに気がついた。
「わり…寝てたわ」
「あ、あのね…」
彼女はなんだか恥ずかしそうにもじもじと動く。
「どうしたの?」
「それが…その…」
俺はすぐにその理由に勘づいてテーブルに目を向ける。
「あー…」
そう言うことね。
「食材無駄にしてごめんね…」
お皿にのった食材は全部焦げてたり油っぽかったり…。
今まで冷凍食品とかレトルトだったもんな。
「渡辺さん料理下手だったんだ」
俺は少しいじめてやろうと意地悪く笑った。
「は、初めてでどうしていいかわからなくて…」
「あーあ、食材台無しじゃん」
俺が少し真顔でそういうと、
「…これは私が食べるから…あ、ラ、ラーメンあるよ…お湯沸かしてくるっ!」
彼女は本気で焦って言葉をつっかえさせた。
「冗談だって」
俺は急いでキッチンに行こうとする彼女の手を引いて
自分の膝の上に乗せた。
「本当にごめんなさい」
「別に怒ってねぇよ?初めてにしては上出来じゃん?」
そう言って落ち込む彼女の頭を撫でる。
「明日は俺も一緒に作るから練習しよ」
「え、いいの?」
「言っとくけど俺は厳しいぞ?」
俺のその言葉に彼女は嬉しそうに笑った。
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kitty(プロフ) - コメント失礼致します。続編のパスワードを教えていただきたいのですがよろしいでしょうか? (2021年3月1日 2時) (レス) id: ec02268633 (このIDを非表示/違反報告)
ツミキ(プロフ) - こんにちは!コメント失礼します!続編のパスワードをお伺しでもよろしいでしょうか! (2021年2月20日 21時) (レス) id: 38aa17f1c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - コメント失礼します!よろしければ続編のパスワード教えていただきたいです!よろしくお願いします。 (2021年2月20日 8時) (レス) id: 69753dea94 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - こんにちは、コメント失礼致します。いつも作品楽しく読ませて頂いております。もしよろしければ続編のパスワードの方お伺いしてもよろしいでしょうか?よろしくお願い致します。 (2021年2月15日 7時) (レス) id: ad7059f36c (このIDを非表示/違反報告)
あられ@帝国民(プロフ) - コメント失礼します!続きがすごい気になるお話でした!!もし主様がよろしければ、続編のパスワードを教えて頂きたいです!よろしくお願いいたします! (2021年2月14日 14時) (レス) id: dc7474ee4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりあ | 作成日時:2019年6月4日 4時