【WT】恋愛短編のお話③【実況者】 (ページ18)

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そうして時を過ごしていると、雨雲は次第に無くなっていった。

『(これならもう帰れるかな？)』

空をキョロキョロと見ていると、きりやんがぽつりと呟く。

「もう雨雲もどっか行っちゃったね。もっと話してたかったのに」

思わずドキッとする私。

…さっきから私をドキドキさせてどういうつもりなんだこの人は……

今にもはち切れそうな気持ちを抑えつつ、荷物を持って出る準備をする私。ここにいたら確実に耐えられなくなる…

「…ねえ、いっちゃう前に1つ質問していい？」

『え、うん』

なんだろう？と思いきりやんの方を見る。すると、きりやんはさっきの笑顔とはうってかわって真剣な表情をしていた。

「神様っていると思う？」

『え…』

予想外の質問に言葉が詰まる。

「…いや、いいや忘れて。また会えるといいねA」

きりやんはそう言うと指パッチンをする。

すると、

『え？なんで？？』

神社へと続く道があった場所に居た。しかし、辺りを見渡しても神社へ続く道や赤い鳥居は無くなっており、看板も階段も何一つ無い。

『(私、夢を見てたの…？)』

確かにあんな都合よく神社があるわけないし、なによりもあんな正体不明の好みのイケメンが居るわけないか……

けど…あまりにもリアル過ぎる夢な気がする。それに、意識を失っていた感覚もないし。

『まあ…帰るか』

疑問を沢山残っているが何も出来ない私は、一旦帰ることにした。

あれから毎日あの道は通っているが、神社への道が再び見つかることは無かった_____