【WT】恋愛短編のお話③【実況者】 (ページ14)

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狐の婿入りページ14

『うわ最悪～』

高校の帰りがけに空を見ると、いかにも雨雲である真っ黒い雲が空全体を覆っていた。

傘持ってないんだよな…どうしよ

『(うーん、走って帰るか雨宿りして帰るかするしかないのかな)』

普段なら速攻走って帰る私だが、今日はそういう訳には行かない。何故なら、今日は少し重い荷物を持ってしまっているからだ。正直こんな状態で走るのは厳しい。

…こんなことならまた明日に持ち帰ればよかったな〜

溜息をつきつつ、仕方がないので雨宿りをして帰ろうと考えた。しかし、ここで深刻な問題が出てきた。それは、

"雨宿りする場所がない"

ここ一帯はかなりの田舎で、周りには林、畑、田んぼ。住宅街なんて先ずない、明らかに誰も住んでいない、古すぎていつ倒壊するか分からないボロ家が数件立っている程の場所である。当然雨宿りをする施設なんてない。

どうするか悩みながらあちこちを見ていると、林の向こうにちらりと赤い鳥居があることに気がついた。

『(…こんな所に神社なんてあったっけ)』

身に覚えがない鳥居に近づいてみると、結構な大きさがあった。鳥居の真ん中には上へと続く階段が繋がっている。

鳥居の横にある古い看板を見ると、

【この先、稲荷の末裔こそ祀る神の社ありけり】

と古い文字で書かれていた。

『狐の神様…ねぇ』

神様なんていないでしょ、と神聖な場所でそんな生意気なことを思っていると

ﾎﾟﾂﾝ

と雫が頭に落ちる。一気に血の気が引く私。

『やばっ！！』

私は重たい荷物を持ちながら、急いで階段を駆け上がった。