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ある日の朝、鉄格子の前に知らない人間が現れた。
「犬耳に尻尾…これが獣人か…」
その人間は男で、ここら辺の人間より遥かにいい布の服を着ていた。
『人間様が私共獣人にどのようなご要件でしょうか』
ビジネスマナーで人間に問掛ける。人間は絶対。少しでも機嫌を悪くさせたらどんな拷問をさせられるか分かったものじゃない。
すると、その男は少し驚いたような表情をした後、嬉しそうな表情を見せた。
「成程…悪くないな」
そう男は独り言を呟やくと、どこかへ行った。すると、数分後にいつもの男を連れて来た。
「コイツが欲しい。金ならある」
その男は私を指差し、そういつもの男に伝えた。すると、いつもの人間はニヤニヤしながらポケットから何かを取りだした。
「分かりました。ではこちら程…」
いつもの男はポケットから取り出した物をいじると、謎の男に見せた。すると、謎の男は頷き「いいだろ」と言いながらポケットから袋を取りだした。
「これで足りる筈だ。端切れはやる」
いつもの男は謎の男から貰った袋を開ける。すると、そこからは金色の丸い何かがいっぱい入っている様だった。
「ええ！！いいんですか？」
「ああ。それより、早くしてくれ」
「はは、只今」
いつもの男はニコニコしながら私の方へ来たと思うと牢屋の鍵を外し、牢屋の中へと入ってきた。そして、私の手枷と足枷を外した。
『？？』
「お前は今から解放される。ったく、領主様に飼われるなんて幸せな奴だな」
領主…飼われる？
知らない単語が飛び交い困惑していると、「さっさと出ろ」と、牢屋から出された。しかし、いつものようにムチでは叩かれなかった。
『(ムチに打たれたり暴言吐かれたりしないなんて、珍しいこともあるんだな)』
牢屋を出るといつもの男はどこかへ行き、私と謎の男とで2人になった。すると、男は私に話しかけてきた。
「俺の名前はスマイル。今からお前は俺の物だ」
謎の男はスマイルというらしい。スマイルは私にそう言うと、「着いてこい」とどこかへ歩き出した。
俺の物になるというのはどういう意味なのか、私はこれからどうなるのか、色々聞きたいことはある。ただ、私に聞く権利はないため、ただスマイルの後ろを歩いてついて行った。
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作者名：リリルル | 作成日時：2020年1月8日 4時
