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場所は薄暗い地下室。カツンーー、と足音が響く。
廣瀬は体を硬直させ、身構えた。と言っても拘束されているため、することは限られているが。
地下室に下りてきたのはこの市の市長と秘書。
市長は愛想笑いを浮かべて廣瀬に話しかける。
「やあ、君は廣瀬君だっけ。別に君を殺すわけではないよ」
「……」
廣瀬は黙って睨む。
信じられないというような顔だ。
「実は佐藤君。君を見ていた不良君。あの子は探偵社員だったらしくてね」
「なっ……!」
「簡単に言うとね、佐藤君」
ーー用済みなんだよ。
そう言うと、バァン、と乾いた音が響き、秘書の胸に赤が舞った。
そのまま弾かれたように後ろに倒れ、床が赤く染まった。
「きっ……貴様ァァァ!!」
「恨むなら自分を恨むと良い。何も出来なかった自分をね」
廣瀬は顔を歪めて去って行く市長の背中を見つめていた。
「市長さんってホント容赦ないよね〜! 奏麻さん大丈夫かなぁ?」
「師匠も大丈夫かなぁ? 私が殺すのに〜!」
「心配要らないだろう。雷華達がしぶといのは俺らが一番知っている」
その市長の後ろを3人が付いていった。
その様子を見ていた女が一人。
監視カメラからだが、しっかりと見ていた。
・
・
・
「そういえば美影ちゃん」
「何かな?」
「美影ちゃんは何で市役所が怪しいと思ったんですかね?」
山吹は美影に話しかけた。
勘だよ、と言った美影に疑いを持ったのだろうか。
「廣瀬君が誘拐されたとき、床は水浸しだった。
異能力が使える者は詳細を市役所に提出しなければならない。でしょ?」
「廣瀬君の異能力のデメリットを知っていた市役所が怪しいと。
そういうことですかー。いやーやっぱりすごいですねー」
うふふ、と美影は笑った。
不動から、しゃべってないで考えんか!! と叱咤される。
(まあ、それもあるけど……ね)
「仕事って言ったってねぇ? 一体何すれば……」
「師匠!!」
「桜ちゃん」
「はぁ、はぁ、市長の秘書が……」
「落ち着きなッて。ほら、水飲んで」
黒江の教え子ーー桜は、ありがとうございます、とコップを受けとった。
「師匠が追っていた市長の秘書さん……市長に殺されました!」
「何だッて!?」
「恐らく口封じだろうね。これ以上喋らないようにするためにのね」
美影は温かみの無い声色で喋る。稀に見せる美影の冷たい瞳。
黒江は桜に他に何かあるかを聞く。
「廣瀬さんは地下室で拘束されています」
「地下ねぇ…」
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ラハル - アノさん» ありがとうございます!他の作者様の素敵な文に負けがちですが精一杯やらせていただきますのでよろしくお願いします!! (2017年3月5日 22時) (レス) id: a67c8f74a0 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - アノさん» お褒めに頂き光栄です(*´∀`) 更新遅れてますが頑張りますね(^o^ゞ (2017年2月24日 20時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
アノ - 凄く楽しく見せてもらっています!凄くこの作品好きなので更新頑張って下さい!応援しています! (2017年2月24日 20時) (レス) id: 09388b2c82 (このIDを非表示/違反報告)
ラ八ル(プロフ) - 花園イリアさん» ありがとうございます!とても嬉しいです!これからも頑張るので宜しくお願いします!! (2016年11月25日 22時) (レス) id: dcc66ec7ef (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» 有難う御座います! ご期待に添えるように頑張りますね(*´ω`*) (2016年11月22日 9時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
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