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表Aside
入団して2年が経った
あのことがあってから
私は鬼のように任務に行くようになった
教団に居て、ファインダーと顔を合わせるのが嫌だったのもあるけど
少しでも生存率を上げて、認めてもらいたかった
でも、あの日以降
ファインダーから向けられる
私の態度は冷たいものだった
あの男の妄言を信じているファインダーは
私にケガ人を近づけさせようとしなかったのだ
そして、もっと悪いことに
今までは後方で私を戦闘に巻き込まないようにと
気を利かせてくれていたファインダーが
私たちを居ないもののように扱うようになったのだ
そのせいで
情報もなく連帯なんてとれるわけもない私たちは
危険に苛まれることが多くなった
それで真っ先にケガをするのはウィル
最近ではカトリーヌやカールも
ケガをすることは少なくない
ケガをするたびに苦痛にゆがめられる
大切な仲間の表情を見るのは耐え難いものだった
任務が無く
部屋でひとりになると
私は途端に悪い事ばかり考えてしまって
最近は泣くことさえ忘れてしまったかのように
何もこみあげてこなくなった
任務に行っても歓迎されない
ケガ人が居ても治させてくれない
任務に行くたびに仲間が傷つく
このまま続けば
きっとウィルもカトリーヌもカールも
私と任務をするのは嫌になるだろう
3人が離れてしまったら
私はきっともう立っていられない
怖い
寂し
悲しい
辛い
誰に言えばすっきりする?
誰に頼ればこの状況は良くなるの?
ひとりになる度に渦巻く感情に
心が麻痺してしまいそうだった
いや
いっそ麻痺して壊れてしまった方が
楽に生きられるのではないか?
そんなバカげた考えでさえも
妙案だと思えるほど
きっと限界が近かったのだと思う
いつものように
ベッドに横になったまま膝を抱えて
眠れるようにと瞼を閉じる
さっさと朝になればいい
さっさと任務に行きたい
忙しくしていれば
忘れられるもの
どのくらい経ったのか
長い間無心になれるように深呼吸を繰り返した
寝つきが悪くなってからの日課になっている行動で
困ったことにこうしないと眠れなくなってしまった
そして
たぶん目を閉じて3時間ほどしたころ
私はようやく意識を手放したのだった
.
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作者名:ゆーな | 作成日時:2020年8月4日 17時