第2話:嘘つきは泥棒のはじまり ページ4
第2話 ゲスト
シンイチ (26)
・土木作業員
・タロウの中学の後輩
・とある嘘をついている
ー喫茶ミシェルにてー
午後5:30
仕事終わりのマーコが、喫茶ミシェルへ到着すると同時にタロウも店の前にやって来た。
「よっ！不良サラリーマン。」
「・・・相変わらず元気だな、お前。」
いつものように、軽口を叩きながら店内へと足を進める。
後ろからついてくるタロウの方を見ていたせいで、マーコは先にレジ前にいた男に気づかずぶつかってしまった。
「おい！どこみて歩いてんだよ、クソガキ！」
「ごめんなさーい。」
「なめてんのか！？」
男がマーコに詰め寄ると同時、後ろにいたタロウがマーコを自分の背後へ引っ込めた。
「謝ってんだろ。しつけーぞ。」
「っ！す、すいま・・・あれ？タロウさんじゃないすか！？」
「あ？・・・お前、シンイチか。」
長身でロン毛のタロウは、お世辞にも「いい人」には見えない。
その見た目に、近づきたくないと思われることがほとんどだ。
ぐいっと前に出て来たタロウを見て怖気付いた男は、さっきまでの威勢をどこにやったのかヘコヘコしている。
「あれ？タロさん、知り合い？」
テラス席に座った3人。
先程のいざこざなんて忘れて、マーコは楽しそうにシンイチに絡みだす。
「へー！タロさんの後輩なんだ！」
「うっす！タロウさんにはホント、お世話になったんすよ！」
「つーか、シンイチ。お前の方がこいつより年上だから。」
「いやいや！タロウさんの連れってことは、タロウさんと同格ってことなんで！」
「意味わかんねーよ。」
「また会えて嬉しいっす！こっちに引っ越してたんですね！」
「あー、仕事でな。」
「万年、サボりの不良サラリーマンだけどね。」
「うるせぇな。お前は？この辺に住んでんのか？」
「住んでるのは、隣町なんですけど職場がこの近所なんすよ！いま、トビやってて。」
「へー。今日は終わりか？」
「いや！休憩っす。あ、もうそろそろ行かないと。」
「おー、気をつけてな。」
「またねー！シンイチ！」
「うっす！じゃ、失礼します！」
颯爽と駆けていくシンイチを見送ったふたり。
マーコはニヤニヤとタロウを見つめている。
「気持ち悪りぃな。なんだよ。」
「べっつにー。タロさんって意外と面倒見いいんだねー。」
「は？」
「だって、シンイチめちゃくちゃ慕ってたじゃん！アニキ！って感じで。」
「・・・あいつは、ほっとけない奴だったんだよ。」
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作者名：サリー | 作成日時：2020年10月14日 17時
