夜の月(3) ページ30
夜の楽しみであろう食事が待つ大広間への続く廊下の喧騒を抜け、入口でたむろする者達を睨むとあちらから避ける。
あいつは先に行くと言っていたが大広間の入口からスリザリンの席を見ても…癪だが、グリフィンドールの席を見てもあいつの姿が見えない。
こんな時にまた図書室かと思って踵を返そうとしたが、あいつと同じ赤毛に止められる。
「セブ」
「…リリー」
あいつの双子の姉であるリリーが困ったような顔をして、こちらのローブを掴んでいる。
これでは逃げることが出来ないので大人しく話を聞く事にする。
「…どうしたんだ」
「Aと一緒じゃないの？」
「…あいつは僕より先に食堂に向かった」
そう、そのはずだ。
僕より先に食堂に辿り着く場合、あいつはいつも僕の分の席も一緒に確保して、一人で冷たい目や心無い言葉の中心に立たせられる。
それでも一人にしてしまった僕に対して、文句も何も言わずに「セブ！」と笑ってみせるその顔に僕は何も言えなかった。言う資格すらなかった。
「…A、今日は私とセブと三人で食べたいって言ってくれてね。先に場所取りする！って張り切ってたから」
初耳だ。…いやもしかしたらずっと言えなかったのかもしれない。
魔法薬学の教授に珍しい薬品の作り方を教わったので直ぐに試したくて、部屋で調合していた。
以前あいつが調合の邪魔をした時に思わず激怒してしまった。それ以来無茶に話しかけようとはしてこないからだ。
「…リリーは食事をしてくれないか、食事抜きなんてことになったら僕がAに怒られる」
「ええ、もちろん。嫌よ」
リリーはキッパリと自然な笑顔で断ってきた。
リリーのローブを掴む力が強くなるのを感じた。
…片割れがいないだけでこんなにも不安になるのだろうか。
リリーは僕にとあるものを差し出した。
それはAの、杖である。
今あいつは丸腰の状態だということになる。
「二人で探しましょう。その方が二人で食事抜きになるからAも怒れないはずよ」
「なら、五人で探す方が良くないかい？」
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八神(プロフ) - ああさん» ……ああ！？本当ですね……修復が難しい流れなのでキャプション記載させていただきます。ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月9日 22時) (
レス) id: 5d49f427fa (このIDを非表示/違反報告)
ああ - あの、組分けの時って苗字順に呼ばれるじゃなかったですっけ？ (2019年11月4日 11時) (レス) id: a72da57039 (このIDを非表示/違反報告)
LN - 楽しみにしてる、いい作品だね！こういうのハリポタだと珍しいから頑張って！ (2019年5月27日 0時) (レス) id: 33cdc0490e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八神 | 作成日時：2018年12月21日 21時
