２ ページ40
俺とA姉ちゃんとは、
父親が違う。
それに、俺が物心ついた時には、
A姉ちゃんは女子校の寮で暮らしてて、
ほとんど別々で育った。
時々会う、優しいて、綺麗なお姉さん。
それが、子供の頃の俺の、
A姉ちゃんに対する印象。
けどいつからやろう。
俺が高校生なったあたりからかな。
A姉ちゃんに会うと、
胸がばくばくするようになった。
実の姉のこと、
女として意識してるやなんて、
認めたくなかったし、
同級生の女の子と付き合うて、
気を紛らせてみたりもしたけど、
この気持ちはなくなるどころか、
膨らんでいく一方やった。
７歳上のA姉ちゃんは、
俺が高校卒業した頃には、
もう結婚も決まって、
幸せそうに見えた。
俺は敢え無く失恋して、
この罪は生涯誰にも言わんつもりやった。
それやのに・・・
４年前。
俺はその頃、バンドマンとして、
ようやくちょこっと名前が売れ始めた頃やった。
俺の夢、A姉ちゃんも応援してくれてた。
俺があかんかったんや。
A姉ちゃんは、
俺の気持ち知ってて、
ちゃんと、
普通の姉として、
必死で接してくれてたのに。
どうしても昇華出来へんかって。
一曲だけ、歌にしてしもてん。
裕さんがええ人なんは、
可愛がってもろてたし、
俺かて知ってた。
けど、
裕さんやなくても、
他の誰でも、
俺以外の男と、
結婚なんかして欲しくなかった。
A姉ちゃんと裕さんの結婚式の前夜。
大阪のライブハウス。
最後の曲で、
A姉ちゃんへの想いを、
初めて、音楽にして歌ってしもた。
歌詞には具体的なことは何一つ描いてなかった。
普遍的な、愛の歌やった。
それでも、溢れてしもてたんやな。
ライブが終わって、
誰もおらんなったステージ。
A姉ちゃんが、
俺んこと、待ってた。
その目ぇ、見たら、
最後の曲で、
俺の気持ち、全部、伝わったんやて、
分かったから・・・
「俺が嫌や言うたら、
A姉ちゃん、
結婚やめてくれる？」
俺、そんな風に言うてしもた。
困らせるん、分かってて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 524人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みき(プロフ) - 完全な罪。をちょうど先週読み返させて貰ったところで、更新通知があったので今日も読ませて貰いました！こういうお話もけっこう好きです(//∇//)なので、もし良かったらまたこういうお話も書いて頂けたら嬉しいです。 (2020年12月3日 1時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完全な罪。も好きなお話です！公開して下さり、ありがとうございます！foolさんの小説は本当にどれも好きなものばかりで、毎回楽しみです！！ (2019年9月20日 21時) (レス) id: ad46af1069 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - こういうタイプのお話好きです(*^^*) また機会があったらお願いしたいくらいです 完全な罪も素敵でした、ありがとうございました♪ (2019年9月20日 1時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - ボディーガード、この手のタイプの人はホントに怖いと思います…面白いお話でした、ありがとうございました♪ (2019年5月19日 15時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
yume.no.(プロフ) - コメントする前にどんどん新しいお話が！全部主人公の妄想だったのかー！こわい！倉安の今後が気になるお話☆十祭のエイトレンジャーのブラックヤスくんを思い出しました笑 (2019年5月17日 13時) (レス) id: 716f977705 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool x他1人 | 作成日時：2019年4月25日 17時
