NEW WORLD (ページ9)

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8話ページ9

戦兎が重い口を開く。

｢それだけじゃない。遺伝子を増幅させる事でお前の体がパンクするかもしれない｣

『龍我が…？』

龍我に目を向けるがその目は変わらず。

｢俺の体はどうなってもいい。もう誰かが悲しむ姿は見たくねぇんだよ…｣

苦しそうな声。
龍我は変わってなかった。
自分は二の次でみんなのことを考えていた。

｢だからよ、新しいアイテムを…｣

｢馬鹿じゃないの？｣

龍我に重ねて声をあげたのは由衣さんだった。

｢はぁ…誰かに頼まれた訳でもないのに、まるで自分達がやらなきゃ地球を救えないみたいな顔しちゃって…｣

｢なんだと…？｣

『一海…！』

今にもキレそうな一海を宥める。
が、由衣さんの言葉は止まらない。

｢誰もあんた達が助けてくれるなんて思ってないから｣

｢あ"…？｣

由衣さんは工場を出ていってしまった。

｢なんだあの女…｣

一海の言葉が遠くから発せられたような小さな音で耳に入る。
そのくらい由衣さんの動向が気になった。