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8話 ページ39

龍我Side


公園のベンチに寝転がってため息をつく。

戦兎の予想外だったとはいえ、Aは怪我したのに。
戦兎を責めるなとか言って……。

いや、分かるんだよ。
俺だってAの立場になったら、多分Aと同じことを言ったと思うから。

でもなんかモヤモヤしてくる。
ドロドロとした黒い感情がなだれ込んできて無性に腹が立つ。

あ……。


「もしかして、妬いてんのか…?」

「何を焼いてるんだ」

「うぉ!?」


突然見下すように顔を覗き込んできた内海さんに驚いて起き上がった。
誰かが来るかもなとは思ってたけど、こいつは予想外すぎる。


「別になんでもねぇよ。お前なにしに来たんだ?」

「君を慰めてやろうと思ってな」

「サイボーグには分かんねぇよ!」


こいつにあたってどうすんだよ!

内海さんは1ミリも悪くないのに、行き場のない嫉妬をぶつけてしまった。
すぐに我に返って謝ろうとすると内海さんが口を開いた。


「少しだけ、分かる気がする」

「は?」

「言葉には表せないが、君の考えてることが少し分かる」


何言ってんだ……?
ん?いや?人が傷つくのが嫌だっていうニュアンスの「分かる」だよな。

なのになんでこいつ目をキョドらせて冷静を装ってんだよ。


「……考えてることってなんだよ」

「AAを傷つけられて辛いんだろう?」

「あっ……あぁ、そうだよ」


案外普通の答えが返ってきた。
なんか今日は空振りしてばっかだな。


「だが、私達が目指しているのは誰も失わずに世界を救うことだ」

「そう、だな……」

「それにAAが気にしてないというのだから、今はエボルトとレックイーンを倒すことに集中しなければならない。言いたいこと、分かるな?」


なんで最後俺に委ねてきたんだ。
こいつのキャラ掴めねぇな。

それとも慰め慣れてないからこんな言い方してんのか?


「一人の心が乱れてたらあいつらには勝てねぇって言いてぇんだろ」

「そうだ、分かったら戻るぞ」


急かされて俺は渋々立ち上がって歩こうとした。
でも内海さんが動かない。


「帰るんだろ?」

「君はAAを愛しているから、尚更辛いんだろうな」

「あぁ、」

「……その気持ちが分かるのは私だけだろうから、私が来たんだ」

「はぁ!?今のどういう意味だ!」

「チンパンジーみたいに喚くな、うるさいぞ」


内海さんはそう言って俺を無視して歩きはじめた。
最後にすげぇ爆弾落としやがって……。

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作者名:Non | 作成日時:2020年8月8日 18時

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