14話 ページ15
パンドラボックスの白いパネルが落ちて、私達は噴水の広場に戻ってこれた。
龍我が変身を解くと、体からエボルトがでてきた。
その姿は怪物そのもの。
｢Aに手を出したのは、俺のハザードレベルを上げて変身させるためだったのか｣
｢礼には及ばない｣
｢誰が言うか！｣
｢ふふっ、しばらくこの星を離れる。また力を蓄えたら戻ってくるよ｣
『戻ってこなくて結構です』
私は立ち上がって、最大限の睨みをエボルトに利かす。
｢冷たいねぇ…チャオ｣
手を振るとエボルトはいなくなった。
本当に戻ってこないで欲しいところだ。
｢二度と戻ってくんじゃねぇ…｣
龍我も睨みながらエボルトを見送った。
そして私の隣で蹲っている由衣さんに手を差し伸べた。
由衣さんのこと助けられたのかな、と思いながら2人を見ていると由衣さんは龍我に抱き着いた。
『ええっ！ちょっ、ちょっと！！！』
2人を引き剥がそうと肩を掴む。
｢万丈。もしかして…｣
すると幻さんがジャケットのチャックを開けて文字Tを見せてきた。
そこには【二股？】と書かれていて、龍我はあからさまに狼狽える。
『龍我、最っ低！』
龍我に背を向けて歩き出す。
｢ちょっと！待てってA！｣
私の横に来て顔を合わせようとするけど首を振って顔を合わせないようにする。
肩を掴まれて、向かい合わせになる。
｢俺はAのこと、ちゃんと好きだから！｣
『じゃあ根拠と共に証明して』
｢だー！もうそんなの分かんねぇよ！｣
頭を掻いて、怒ってるのか分からないような目を向けられる。
負けじと睨んでいると、唇に柔らかい感触を覚えた。
｢お前らァ！！！！｣
一海の叫び声で唇が離れる。
『ちょっと邪魔しないでもらえない！？』
｢うるせぇ！お前らイチャイチャしてんじゃねぇよ！！！心火を燃やしてぶっ飛ばす！！！｣
一海は万丈の顔を殴った。
『やめなさいよ！』
一海と龍我が戯れていると、紗羽さんがフラフラになりながら歩いてきた。
｢私のこと忘れてない！？｣
｢お前が悪ぃんだよ！｣
｢そーだよ！｣
紗羽さんと幻さんが加わってわちゃわちゃしている隙に、由衣さんに近づいた。
『龍我は渡しませんよ？』
｢じゃあちゃんと捕まえときなよ、でないと取っちゃうから｣
これが年上の余裕か…と。
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作者名：Non | 作成日時：2020年8月8日 18時
