11話 ページ12
龍我は何とか耐えて、エボルトの遺伝子を増幅させることに成功した。
｢じゃあ行ってくる｣
龍我と目が合う。
私は首を縦に降ると、龍我も頷いてくれた。
そうして、工場を後にした。
だけど私達にはまだ役目がある。
龍我のパワーアップアイテムを作らなければならない。
私は戦兎の手伝いをしながら、昨晩のことを思い出していた。
龍我の体からエボルトが飛び出して来た時は驚いて思わず後ずさりしてしまった。
退屈そうに伸びをしているエボルト。
｢エボルト…｣
憎しみが籠った声をあげる戦兎。
戦兎とは対称的に陽気なエボルト。
｢よぉ、戦兎。久しぶりだなぁ？お陰で完全復活だぁ｣
｢お前を蘇らせたのはキルバスを倒すためだ」
｢だろうな…けど協力するかどうかはお前達次第だ｣
ちゃんと戦ってくれているのだろうか。
寝返ったりなんかされたらたまったもんじゃない。
｢皮肉だよねぇ…万丈とエボルトが一緒に戦うなんて｣
紗羽さんは龍我とエボルトに見立てた人形で遊んでいる。
｢あいつ、エボルトに両親を殺されたんだって｣
『エボルトに？』
事故なんかじゃなかったんだ。
｢なのに手を組むなんて結局あいつは自分の命が惜しいんだよ。自分が助かりたいから戦ってるだけ｣
立ち上がって由衣さんの方を向く。
『違うよ…龍我は、みんなを守るために戦ってるんだよ。愛と平和のためならどうなってもいいなんて考えてる…馬鹿で、真っ直ぐでどこまでも優しい、それが万丈龍我なんだよ』
目から涙が零れた。
私龍我のことちゃんと分かってるじゃん。
爆発するような音がしてその音の方を向く。
｢出来た！｣
戦兎の髪が兎のように跳ねる。
｢名付けて、マッスルギャラクシーフルボトル！すごいでしょ！最高でしょ！天才でしょー！｣
｢出たーいつものー｣
戦兎はそのフルボトルを私に渡してきた。
｢これ、万丈に届けてくれない？｣
フルボトルを手に取り、由衣さんを見る。
『一緒に、届けに行こうよ』
由衣さんにフルボトルを渡す。
由衣さんはフルボトルをじっと見つめていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Non | 作成日時：2020年8月8日 18時
