３章ー２４ ページ32
食事も進み、メインの肉料理に差し掛かった頃、オスマンさんが「そういえば」とこちらを見る。わたしは短く返事をして、ロース肉のグリエをつつく手を止めた。
「Aちゃんは、うちの奴らと交流があるみたいやけど、ゾム以外誰知ってるん？」
「ああ、それは俺も聞きたいな」
「ゾムさん以外…ええと、」
ぽつりぽつりと思い出すように名前を挙げていく。最初に出会ったのはゾムさん。彼が全ての始まりだった。その繋がりでシャオロンさん、鬱さんと知り合うことになったが、直接交友関係があるのはその２名だけだ。それから一方的ではあるがコネシマさんも見かけたことがあるし、名前だけならロボロさんも知っている。
ひとらんさんは「へえ」と驚いたような声をあげる。気持ちは痛い程分かる。この短期間で知り合いが増えすぎてこちらが困惑しているくらいなのだから。
「君をケーキ屋に連れて行ったのはだれ？」
「シャオロンさんだよ」
「なるほど、ゾムじゃなくて安心した」
「ふふ、それみんな口を揃えて言うよね。なにか理由があるの？」
「本人から聞いてみるといいよ」
そんなやり取りをしながら、ふとオスマンさんを見る。彼は人差し指を顎に添えて、なにか考え込んでいるような素振りを見せた。
それから会話にひと段落着いたタイミングで、ひとらんさんが「ちょっとお手洗い」と席を立った。あまりオスマンさんと二人きりにしないで欲しいんだけれど。そんな思いは無残にも打ち砕かれ、ひとらんさんはそそくさと退室した。扉の向こうに消える後姿を見送ると、ばちりと正面に座るオスマンさんと目が合った。嫌な予感がする。
「あんまり身構えんといてほしいんやけど」
「日頃の行いじゃないかな」
「酷いこというやん。まあ、でも幾つか君に話そうと思ってたことがあんねん。せっかく二人になったわけやし、げどちゃんが帰ってくるまでちょっとお話でもしよか」
「…なに？」
そう言いながら頬杖をつくオスマンさんに、身構えずにいられる人がいるのなら是非会ってみたいところだ。わたしは何を言われるのかと気が気じゃなかったが、大人しく彼の言葉をじっと待った。
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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (
レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください！亀更新ですが頑張ります！ (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください！ (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊麻 | 作成日時：2017年12月7日 16時
