不釣愛 [藤原愁] (ページ37)

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第三十四話　僅かなズレページ37

Aside

車に戻って暫く経つと、愁が乗ってきた。

『おかえり、愁』

愁「ただいま」

(…愁、なんか機嫌悪い？)

愁「…Aは静弥と何を話していたんだい？」

『え、何で知ってるの？』

愁「偶々見えたからね。それに、その後俺も静弥と話をしたから」

『そうなんだ・・・大したことじゃないよ。大会中転んだのを聞いて心配してくれたの。それに、私たちのことで何かあったら相談してほしいって。それだけ』

愁「！…静弥は俺たちの関係を知っているのかい？」

『・・・静弥に告白された時があったでしょ？その時に言ったのその時は愁の名前は出さなかったけど、後々気づかれちゃってね』

愁「…初耳だ」

『隠すつもりは無かったけど、隠してたみたいになっちゃったね。ごめん』

愁「……いや、いいんだ。今本当のことを教えてくれたからね」

『…愁は、静弥と何を話したの？』

愁「…静弥の弓は湊への執着だって言ったんだ。静弥も自分の弓の道を究めるなら、湊の為の射ではなく、自分のための射を磨くべきだ。とね」

『・・・静弥にそんなこと言ったの？！』

愁「うん。実際静弥の弓は湊への執着でしかない。弓を愛していない静弥のままでは、湊にとって毒になると思ってね」

『毒って…』

流石に言いすぎじゃない？とは言えなかった。
普段から丁寧な口調の愁がここまでキツイ言葉選びをするのには何かわけがあるのか？
不機嫌さも相まって余計に怖く感じる。