不釣愛 [藤原愁] (ページ32)

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第二十九話　県大会予選(一日目)　裾ページ32

Aside

『愁…』

静弥「…A？」

愁を見ていたら、静弥が私に気づいた。

『久しぶり。静弥、鳴宮君さっきは双子が変な事言ってごめんなさい』

湊「Aが謝ることじゃないよ」

海斗「誰だ？」

『桐先高校1年、高槻Aです。二人とは中学が一緒で、愁とは幼馴染なんです』

七緒「わぁお！あの貴公子と…」

『母から風舞にも弓道部ができたと聞いていたけど…まさか、二人が進学した高校だったとは』

湊「え、Aのお母さん風舞にいるのか！」

静弥「湊、知らなかったの？名前を見たら勘付くと思うけど」

『あまり公に言うことじゃないからね…それじゃあ』

＿＿＿＿＿＿＿_____________________＿＿＿

『あ、望月先輩！控室ってどこにありますか？』

望月「お、高槻ちゃん。控室なら反対方向だけど…一緒に行こうか？」

『あ、ありがとうございます』(迷子なのバレた…)

㏌控室

愁「…失礼。では互いの健闘を祈ろう」

控室に行くと、愁と双子がいた。奥には風舞の男子二人もいる。

『…あ、愁！』

愁「A。どうかした？」

『個人戦、頑張って・・・ってうわあぁぁ！！！？』

少し早歩きをしたせいで袴の裾を踏んでしまい、そのまま前に倒れる。
床に倒れる衝撃の恐怖に、反射的に目を瞑る。

その瞬間、何かが私を支えた。

愁「おっと・・・道着の時は足元に気を付けるようにいつも言っているだろう？A」

私を支えたのは＿＿＿＿＿＿＿紛れもない、愁だった。

七緒「わぁお！さっすが貴公子…」

千／万「「ヒュー！！！ナイス！愁～」」

小野木「…っおい、大丈夫かよ！？」

『あ、え・・・っと』

愁「怪我は無いかい？」

『あわわ！ご、ごめん。愁！・・・大丈夫』

愁「ならいいんだ。…少し道着が乱れてしまったから、直してくるよ」

望月「大丈夫？高槻ちゃん・・・って」

七緒「顔真っ赤～可愛い～」

『大勢の前でこんな醜態///高校では絶対転ばないって決めてたのに・・・///』

私は身長が低く、道着も少しだけ長めなのである。そのため、中等部の時からよく裾を踏んで転んでおり、その度身長のことで揶揄われてきたのだ。

一同「「「…そっち！？」」」

その後、桐先からは神薙先輩が女子個人優勝。そして剣城先輩も本戦に駒を進めた。
男子の方は、本村先輩と愁が決勝進出。射詰競射の末、愁が男子個人優勝を飾った。