第十九話 稽古 ページ21
Aside
武藤「それでは、新入生の男女各上位3名を発表する。男子一位、藤原愁。八射皆中。同率二位、菅原千一、万次。八射六中。女子一位・・・・・・」
皆中するとは…流石愁。
それに比べて私は、上位3位に入れなかった。正直に言うと、中等部の時は人数が少なかったからレギュラーになれただけであって、決して実力があるわけではない。
武藤「これより稽古を開始する」
部員「「「よろしくお願いします」」」
男女に分かれて練習をする。桐先高校の弓道場は十人立ちととても広い。流石、県内屈指の施設充実度を誇るだけのことはある。
高等部は中等部よりも規模が大きく、男女合わせて部員は90人程いる。そのため一年生は的前に立つどころか弓を持たせてもらえない。そして初心者は3年生が引退するまでは矢取りや記録係をするなどの所謂見取り稽古をする。
しかし、今日発表された6人は特別に的前に立って矢を射ることを許される。
望月「・・・えっと、君が高槻さん？」
『え？あ、はい。高槻Aです。よろしくお願いします』
(この人、誰だろう？)
望月「やっぱり。詩音とは仲が良いんだよね？俺、望月龍也。彼奴の従兄妹なんだ」
詩音の従兄妹！？初めて聞いた・・・。確かに苗字の雰囲気は似てる？いや、関係ないか。
『え、従兄妹何ですか！？詩音とは中等部からの親友なんです』
望月「そうなんだ。・・・流石貴公子様。皆中して当たり前って感じだ」
『はい…私なんて足元にも及びません』
望月「そんなことはない。俺も高等部から弓道を始めたんだけど、全国大会なんて夢のまた夢だ」
『え、中等部と規模が違うので当然です・・・って、先輩の実力不足とかそういう話ではなくて…！』
望月「あはは…君、面白いね」
『そうでしょうか…？』
愁「先輩、的前へどうぞ」
望月「おっと・・・それじゃあAちゃん、また話そうね〜」
なんだか馴れ馴れしいというか・・・あの雰囲気、何処かで・・・
愁「…A、何を話していたんだい？」
『え？中等部の成績についてだけど・・・』
愁「…そうか。ならいいんだ」
どうしたのだろうか・・・？
稽古が終わり、再び全員が顧問である武藤先生、部長らの前に集まり正座をする。
武藤「本日の稽古は以上だ」
部員「「「ありがとうございました。」」」
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作者名：ｉ | 作成日時：2023年3月21日 22時
