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「デク、くん、」
「カーム……、」
力なく私を呼ぶデクくんの目は絶望の色に染まっていた。荒い呼吸を繰り返す彼に追い打ちをかけるように、死柄木が話す。
「遅刻の……言い訳はいいのか?トガあたりの……しわざだろ?緑谷出久。言ったらどうだ……?仕方なかったんだ、僕も予想外だったんだ、って!そうやって奴等と同じように、責任から逃れたらどうだ!?」
死柄木の言葉に呼応するように、デクくんは感情を、怒りを露わにした。凄まじいエネルギーを感じる。黒鞭を体中から発現させたその姿は憎しみに乗っ取られているかのように見えて、まずいと脳内が警告を出す。
バレている。デクくんは怒ると動きが単調になること……!であれば今の状況は全て奴の術中だ、デクくんを落ち着けないと!!
ジェットを射出し移動する。デクくんに飛びつくと同時に、通形先輩も地面から現れた。
「大丈夫だ、デク!!」
「大丈夫だよ、デクくん!!」
ああ、先輩がいてくれてよかった。私も今必至だけど、先輩が居てくれるだけで少し安心できる。兎に角落ち着いてほしい一心で、デクくんを力強く抱きしめた。
「自分が許せないんだろ!?ああ分かるぜ、でもそれは敵の思う壺だ!!大丈夫!環達まだ息してた!今エッジショットが爆豪くんの救命措置にあたってる!!彼は絶対に成功させる!その前提で戦ってる!!俺たちはまだ何一つ失っちゃいない!諦めちゃいない!」
「先輩の言う通りだよ!かっちゃんなら平気、みんなも大丈夫だから……!まだ負けてない!!今から!取り戻せるんだよ!!」
力を内から垂れ流しながら、デクくんは立ち尽くしている。鎮めなければ今にも死柄木に飛び掛かってしまいそうな様子だった。それを防ごうと、必死に声をかける。
「きれい事ばかり並べたてることを、現実逃避と言うんだ。」
「俺達はヒーローだ……!ヒーローがきれい事並べ立てないで誰が理想を現実にするんだ!?」
通形先輩の言葉を聞きながら、強くデクくんの手を握る。
「デクくんが来るまで皆の事守れなくてごめん、いつも頼ってばっかでごめんね。役に立たないかもしれないけど、私も頑張る、一緒に戦う、だから……だからお願い。」
藁にもすがるような思いで、力の入らない体で、私は喉の奥から必死に声を絞り出した。
「……皆を守って、"デク"。」
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作者名:赤兎リエ輔
| 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2025年12月26日 0時


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