２４４羽 ページ42
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「(勝った……勝った？若先輩に……？)」
半ば放心状態のAがコート内で喜びを分かち合う選手たちを見つめる。
彼女の中の最強であり、絶対はいつも牛島だった。逆らうことのできない圧倒的なまでの力を持った彼を恐ろしく思うと同時にその強さと価値への執着心に恋心さえ抱いていた。届くことのないと分かっていても止められなかった思い、止まらなかった思い。
3年間の末にそれを払拭し、新たな道で歩んだ一歩。
――仲間思いのチームだといいな。
必要とされないことが怖くて、牛島のいないチームは結局切なくて。たったそれだけの思いで烏野にやってきた、本当にただそれだけだった……それが今はどうだろう。
初めは未完成だった。個々の力もまだまだ低く、リベロもエースも居ないチーム。そんなチームにリベロが、エースが、実力が、信頼が徐々に備わっていった。
その過程いつしか楽しんでいた自分が居たことに、Aはとっくに気づいていた。1勝1勝を喜び、分かち合うこのチームの暖かさ。中学時代にはなかったものがここには、烏野にはあった。
いつしか烏野が大好きになっていた。いつしかもしかしたら白鳥沢に勝てるのではないかと考えたこともあった。
――それが現実となった今、頬につたう冷たいものはなんだろう。
「(……勝って泣くなんて、そんなの初めてだよ。)」
あふれ出てきた涙を拭って、顔を上げる。抱き合って涙する3年生、日向や影山、月島に飛びつく2年生。いつもと変わらないそんな風景に酷く胸が熱くなる。
「(ああ……チームって、勝利って……こんなにも。)」
顔がほころぶのを止められないし、止めようとさえ思わない。ただただ微笑んで選手たちを見つめて、静かに涙を流した。
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選手たちがお互いのコートのエンドラインに立ち、挨拶をする。そしてネット際に駆け、互いに握手を交わした。本当に終わったのだと、肩の荷が下りるのを感じる。
白鳥沢の選手たちがこちらのベンチへ来て、整列する。
「ありがとうございました！」
「ありがとうございましたぁ！！」
主将である牛島の挨拶の後、白鳥沢全体で挨拶される。頭を下げる選手たちに拍手を送るAだが、心境は少し複雑だった。
顔を上げた牛島と目が合って、少し……本当に少しだけ、微笑まれた気がした。ぎゅっと胸が締め付けられる……けれど、そこに恋情はない。
彼に笑みを返した。過去にとらわれない、まっすぐな笑みを。
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蘭(プロフ) - 雨音が響いていますね切ないっ！ (2020年5月20日 19時) (
レス) id: 6b8ac95e5a (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 228羽から239羽になっています その後も240羽〜になっています (2019年7月28日 17時) (レス) id: 429426fee2 (このIDを非表示/違反報告)
kusareneko11(プロフ) - 天童の童が道になってますよ (2018年1月23日 21時) (レス) id: 82b0fa55d3 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - Kitty*.。さん» 貴方様のコメントを受けて「可笑しいのか！？」と思って調べたところ真骨頂が正解でありました…！申し訳ないです！真骨頂の意味は最もいい状態みたいな感じです！ (2016年12月29日 11時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
Kitty*.。(プロフ) - 216羽に最骨頂という言葉が出てきましたが、意味を教えてください (2016年12月27日 20時) (レス) id: 73d00c2580 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2016年10月8日 22時
