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『部活の予定出てもしお休みがあったら、近いうちにまた何処か行こーね。』
携帯を持つ手が震える。続いていた話の自然な流れで、いつの間にかこうなっていた。好きな人から送られてきた目を疑う文章に思わず額に手を当てる。
「恋わずらいだ。」
「女かよ。」
それぞれ口を挟む幸郎と芽生に「うるせぇよ!」と威嚇。お前らだって好きな子からこんな文章きたら同じようになるだろと反論しかけたが口を閉じた。今は彼女に返事を返すのが先だ。
正直休みは中々無い。土日だって殆ど練習か試合が入るし、月に3度土日休みがあれば多いほうだ。多分Aはそこも理解して、部活に休みがあればと前置きしてくれているのだろう。そんな些細な優しさにまた彼女を思う気持ちが強くなる。
「そういえばもうすぐ球技大会だけど、お前ら今年バレー選ぶの?」
「……そうじゃん、球技大会!」
芽生に言われて、はっとしたように幸郎が声を上げた。それから「光来くん、チャンスだよ!」と俺に諭す。その意味が分からず首を傾げれば、幸郎は呆れたような顔を見せてから続けた。
「(人1)さんにいいカッコ見せるチャンスってこと。間違いなく2年にバレーで光来くん以上に活躍できる人いないし!」
「俺がいるだろ!!」
言葉に噛み付く芽生をいなしながら、幸郎は「ね?」と俺に笑いかける。もちろんおれは2年の誰に劣っているつもりもないし、やるとなったら全力で勝ちに行く。今回は元々バレーを選ぶつもりでもあった。
俺の得意分野で、彼女に少しでもアピールが出来るのなら。
「……ああ、やってやる。」
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「そうだA、今回の球技大会何選ぶ?やりたいのある?」
友達に聞かれて球技大会の存在を思い出した。今まではバスケだとかバドミントンだとか、友達と話し合いながらあわせる形で選んできたけど、今回私にはやりたいスポーツに思いあたるところがあった。
「……バレー、やりたいかも。」
部活を見に行ったあの日、光来くんのプレーを見てからずっと思っていた。彼のようにかっこよく出来なくても、楽しそうにプレーする彼を見てたらこっちまでやりたくなっちゃって。
「星海くんの影響?」とにやにや笑う友人を照れ隠しで叩く。ええそうです、そうですよ。
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ましゅ(プロフ) - さいっこうに最高なお話でした。2人のよさも可愛さもギュッと詰まってて、光来くん〜〜〜〜!!!って悶えました、天才です……幸郎も解釈が一致すぎて……ギュンギュンしました、最幸のお話をありがとうございます!! (2021年4月30日 3時) (レス) id: 01c5a5310c (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - お誕生日!!!最高です!ありがとうございます!! (2021年4月17日 9時) (レス) id: 299227e86e (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» 楽しみにしてますね!ゆっくりで良いのでこれからも頑張ってください! (2020年5月8日 8時) (レス) id: 2b0a425061 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - あおりんごさん» 1番だなんて勿体無いお言葉です…!嬉しすぎます…!コメントありがとうございます、とても自身と励みになります…。楽しんでいただける作品を提供できて幸せです、!コメント並びにご愛読いただきありがとうございました。これからも頑張ります〜! (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 紫音さん» レス遅れちゃってすみません…!ずっと応援していただいてありがとうございましたぁぁ…!紫音さんのお声に本当に励まされました(*´`)絶対また作ろうと思っているので、その時はまたぜひお付き合いください、!本当にありがとうございました…!! (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年3月30日 23時