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私の発した言葉を受けて、光来くんは目を丸くする。数秒ぽかんと口を開けていた彼の顔が、首から頭へ赤く染まっていく。勘違いさせてしまったことは申し訳ないけど、その反応は少し面白かった。
席を確認しに行ってくれた光来くんを待つ私に「あの……。」と声がかけられた。顔を上げるとそこに居たのは中学時代の2人の男友達。
「ほら、やっぱり(人1)じゃん!な、言ったろ?」
「ホントだ……久々すぎて分からなかった。」
「久しぶり!」と明るく笑う彼ら2人は中学時代同じくバスケ部だったということもあって親しくしていた友人だ。卒業以来会っていなかったから本当に懐かしい。
「久しぶり、2人とも変わってない……けど、背伸びた?」
「そう、未だに成長期でさ〜。」
「んで、なんで(人1)はこんなところに一人で座ってるの?」
「もしかして彼氏と?」なんておどけた様子で私の肩に手を置く彼。友達だよ、と説明するより先に、突然伸びてきた誰かの手が、私の肩においてあった友人の腕を掴んだ。私達3人とも驚いて腕を掴んだ人物のほうを見れば、険しい形相の光来くんが居た。
「俺の大事な人に何か用スか。」
そう言った彼の声色はいつにも増して低くて、大きな丸い目は不愉快そうに細められている。小柄なはずの彼がやけに大きく見えて、いつもと違う雰囲気が新鮮で。彼に手を引かれるままに駆けた。
「(……なんだか光来くん、別人みたいだ。)」
今朝は顔真っ赤にして私服を褒めてくれて、ここに着いてからさっきまでは明るくはしゃいでくれて、今は人が変わったように私が絡まれていると思って怒ってくれた。今日だけで見つかるいろんな彼に、私も何度も感情を揺らされている事実。
大事な人、その言葉も温かく胸の中に広がっていく感じがした。……ヘンな、感じだ。
あの人達が友人だと説明すれば、彼はまた雰囲気を変えた。
「アイツら……じゃなくてあの人達ってAの友達だったのか……!?」
やっちまった、と恥ずかしそうに顔を赤くする彼にふと浮かんだのは可愛いな、って言う感情で。慌てている目の前の彼に顔が綻ぶ。
「でも……嬉しかった。ありがとう、光来くん。」
「っと、あー……なら良かった。」
困ったように笑った彼の笑顔が、何故だか頭から離れなかった。
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赤兎リエ輔(プロフ) - 檸檬さん» レス遅れちゃってすみません…!初々しさを目指しているので、そう感じていただけているようでとても嬉しいです…!初々しさ全開で頑張ります笑 コメントありがとうございます、これからもよろしくお願い致します〜! (2020年3月30日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 初々しいの好きです!!!!!!!!!!!! (2020年3月20日 19時) (レス) id: bb7087dd1f (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - なつなつきさん» 謝らないでください〜コメントとってもありがたいです涙 私としてはにやけながら楽しんでいただけているようで嬉しい限りです…! これからもっとにやにやさせられるよう頑張りますので電車での閲覧ご注意くださいっ笑 (2020年3月17日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - lonkuuさん» その甘酸っぱさを目指しているのでそのお言葉が嬉しいです…!!楽しんでいただけているようで何よりです…涙 お褒めの言葉、応援の言葉ありがとうございます。もっと好きになってもらえるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年3月17日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» またコメントすみません!電車で読むの間違えたぁぁっ。となってます。にやにやが止まりません! (2020年3月17日 11時) (レス) id: 0034c747bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年1月19日 1時