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星海くんの不思議な挙動に困惑したその日の放課後。私は教室で「えぇ〜!」と声を上げていた。
「マジでごめん!課題居残りあるの忘れててさぁ……。」
「も〜……ひとりで帰るの寂しいんだから……。」
じとりとした目つきで友達を見つめる私。結局「今度ケーキを奢るから!」という一言に満足した私はひとり廊下を歩いていた。
ひとりが嫌なわけじゃないけどやっぱり寂しいんだよなあ、なんてひとつ息をつく。寂しさから足早に廊下を進む私が6組の前を通ったとき、「あ、(人1)さんだ。」なんて声がかけられた。
「やっほー。今から帰り?」
「昼神くん!」
6組のドアのところで立ってこちらに話しかけたのは昼神くんだった。今から帰りかという問いに「そうだよ。」と返せばへえ、なんて軽く笑う。彼も鞄を持っていたし教室に人は殆どいないし、恐らく教室を後にするところだったんだろう。
「昼神くんはこれから部活?」
「そう。でもその前に友達迎えに、」
「おい!遅いぞ幸郎!」
昼神くんの言葉を遮って、少しはなれたところから飛んできた声。声の聞こえた方向へ振り返って、そこにいた人物に「あ、」と思わず小さく呟いた。
「ごめん、光来くん。」
そこに立っていた人物は星海くん。お昼休みのときのように、お互いの視線が確かに一直線になって、私達はお互い立ち尽くした。なんと言うか、彼からは目を逸らしづらい。逃がしようの無い視線を星海くんに向けたままいれば、彼も彼で何を思っているのか立ち尽くしていた。
何を言うわけでもなく見つめあって数秒が過ぎる。どうしよう、果てしなく気まずいぞ……。
「はいはいストーップ。ふたりとも不器用だね〜。」
そんな昼神くんの言葉が振ってくると同時に、私の視界が彼の手でふさがれた。やっと交わらなくなった視線にハッとして、昼神くんの姿も見えないままにありがとうと伝えた。
「分かるよ、光来くんの目って逸らし辛いよね。」
「アハハ……あの昼神くん、もう手いいよ。大丈夫。」
「んー……いや、こっちの都合でもうちょっと。」
その発言の意図が分からなくて「え?」と聞き返してしまう。こっちの都合とはどういう意味だろう。
そんな間にも、「先行くぞ!」と星海くんが告げて私達の横を走っていく足音がした。……また、目が合っただけで何もないまま終わってしまった。私失礼な人だと思われてないといいけど……。
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赤兎リエ輔(プロフ) - 檸檬さん» レス遅れちゃってすみません…!初々しさを目指しているので、そう感じていただけているようでとても嬉しいです…!初々しさ全開で頑張ります笑 コメントありがとうございます、これからもよろしくお願い致します〜! (2020年3月30日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 初々しいの好きです!!!!!!!!!!!! (2020年3月20日 19時) (レス) id: bb7087dd1f (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - なつなつきさん» 謝らないでください〜コメントとってもありがたいです涙 私としてはにやけながら楽しんでいただけているようで嬉しい限りです…! これからもっとにやにやさせられるよう頑張りますので電車での閲覧ご注意くださいっ笑 (2020年3月17日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - lonkuuさん» その甘酸っぱさを目指しているのでそのお言葉が嬉しいです…!!楽しんでいただけているようで何よりです…涙 お褒めの言葉、応援の言葉ありがとうございます。もっと好きになってもらえるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年3月17日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» またコメントすみません!電車で読むの間違えたぁぁっ。となってます。にやにやが止まりません! (2020年3月17日 11時) (レス) id: 0034c747bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年1月19日 1時