第２２５話 ページ25
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種ヶ島に「悩める少年」なる人物がいると聞いてやってきた練習場。そっと除いてみれば、たしかにベンチに座っている男の姿が合った。まるであの有名な彫刻、考える人のように頭を抱えているその姿に思わず笑ってしまえば、静かな空間に笑い声は予想以上に響く。
「誰や？」と声と顔をあげた男は、Aの姿を見てからあがっていた肩をすとんとおとした。
「なんや、水瀬さんか。」
「悩んでるみたいだね、白石くん。」
近づきながら「あと名字堅苦しいからやめてよ。」と笑う。人懐っこいAの笑みにつられたのか、こわばっていた白石の顔が少しほころぶ。「ほなそうするわ。」と、力なく白石は笑った。
白石が自然とベンチの左側を空けてくれたので、Aはそこに座る。少しの沈黙が流れて、それを断ち切るようにAは話し始めた。
「えーっと、どうしたの？白石くんがひとりでそんなに悩んでるの珍しい。」
種ヶ島に話を聞いてやってくれと言われ、同じ中学生選手として気をかけるべきだろうとここへきたはいいが、別に聞き上手なわけでもない。どちらかといえば不断から年上に囲まれて話を聞いてもらう側だったため、勝手がつかめないでいた。
そもそも彼は何故悩んでいるのだろう。何も知らないまま飛び込んだ自分の浅はかさを嘆きながら考えれば、ひとつ思い当たることがあった。
「……もしかして、ゼウス様を前に怯んじゃったこととか気にしてるの？」
「うっ……水、Aちゃん。言い方キツいで。」
「あ、ごめん！」
そんなつもりは無かったと慌てて口を閉ざす。確かに、いくら相手が悪かったとはいえ白石からしたら情けない話だろう。
白石はおもむろに傍にあった木の棒を手に取ると、がりがりと地面に五角形を描きはじめた。描かれていく図形を見ていれば、白石は呟く。
「種ヶ島先輩曰く、俺は5つのエレメント全てが等しくバランスのいい模範選手らしい。」
「うん、そうだろうね。」
「飲み込み早いなあ……。でも、何かが俺よりはるかに勝っている選手が現れたとき……俺の今のこの形やったらあかんのや。」
木の棒を力なく地面に落とした後、白石は天を仰いだ。深く深くつかれたため息に、彼が相当悩んでいるという事をなんとなく悟る。何か彼に伝えられることはないだろうかと五角形を見ながら考えていれば、頭の上から白石が聞いた。
「なあ、Aちゃんはどうなん？」
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紗菜 - アニメがまた、スタートするのでこちらも更新されるのをお待ちしています。 (2月15日 19時) (
レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき - 続きが楽しみです (2021年9月22日 0時) (レス) id: 09253d858e (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 素晴らしい作品！夢主ちゃん格好可愛いすぎます！ (2021年1月3日 15時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
巫和泉(プロフ) - コメント失礼します！読んでいて，とても面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年1月4日 18時) (レス) id: c314aa38cf (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 更新待ってます!続きが楽しみです。 (2019年11月7日 8時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2019年3月18日 0時
