第２１８話 ページ18
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テニスの声、よく分からないことを言う彼にたじろぐAの様子を受けてなおも、目の前の男は変わらない調子で続ける。
「ギリシャ戦での試合を見て確信したよ、キミ達は愛し合っている。」
何か言葉を返そうにもあまりにも突飛なことを言われているために困惑で言葉も出てこない。男はAに一歩近寄ると、ラケットを握っていた右手をとって持ち上げた。それからAのラケットをじっと見つめる。
確かにAは相当ラケットを大切にしていた。というのもラケットは両親からの贈り物だということが起因していた。両親にたくさんの迷惑をかけている、という自負はある。海外へ行くことも合宿に参加することも、全て理解して、支え続けてくれた。
ラケットはアメリカに行く前に貰った物だ。小4の時に貰ったこのラケットは小学生が使うにしては大きい。それでも身長もそれなりに高かったし、慣れを重視してずっと使ってきた。つまりもう使い始めて5年になる。それでもAの手入れにより新品同然の綺麗な形をとどめていた。
だからといって愛し合っているだとか、そんなこと無ければ考えたことも無かった。というかまず意味も分からない。
よく見ると男の指には先ほど彼のラケットについていた指輪がはめられていた。……まさか、婚約指輪をはめる左手の薬指という場所にラケットとの指輪をつけているとは。
ひとしきりラケットを見つめて手を離した男は「まだ、なんだね。」と意味深に目を細めた。
「声が聞こえていないのならまだ僕達には敵わない。けれどキミとvotre amourは僕達の愛を脅かす存在……これが僕達の求めていた愛の試練なのかな、mon amour。」
愛おしそうに、そして嬉しそうにラケットを抱きしめる男。もはや返事の言葉を返すことすら必要ないのではと思い、Aはただただドン引きの表情を向けていた。
顔を上げた男に(人1)、と名前を呼ばれ、なんとなく背筋を正す。男は少し口角を上げて言った。
「僕はフランス代表、レオポルド・カミュ。互いに初戦を勝ち抜き日本と戦えることを楽しみにしているよ。」
「あっ、は、はい……こちらこそ。」
曖昧に言葉を返せば満足そうに笑ってカミュは去っていった。
「(あれ、私会話という会話してなくない？嫌、だって意味分からなかったし……。)」
結局彼は、彼の言葉は何だったのだろうとひとり頭を抱えて宿泊等に戻った。
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カミュの一人称が分かっていないので想像です…！
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紗菜 - アニメがまた、スタートするのでこちらも更新されるのをお待ちしています。 (2月15日 19時) (
レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき - 続きが楽しみです (2021年9月22日 0時) (レス) id: 09253d858e (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 素晴らしい作品！夢主ちゃん格好可愛いすぎます！ (2021年1月3日 15時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
巫和泉(プロフ) - コメント失礼します！読んでいて，とても面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年1月4日 18時) (レス) id: c314aa38cf (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 更新待ってます!続きが楽しみです。 (2019年11月7日 8時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2019年3月18日 0時
