第２１１話 ページ11
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そこからの試合は一方的だった。亜久津は成すすべなくアマデウスに圧倒され、血を流して倒れる。ゲームカウントは5-0にまでなっていた。
コートチェンジになっても動かない……いや、動けない亜久津に歩み寄ったアマデウスは、亜久津の足を掴んでコートへ引きずる。これが勝負の世界、そうは分かっていてもやはりその光景はむごく、Aは顔をしかめた。
ここで棄権して諦めるような男であれば端から平等院が試合に出すはずも無い。全身ボロボロで血まみれの状態であるというのに、亜久津はそれでも立ち上がった。
残り1ゲームを奪わせまいと壮絶なラリーが繰り返される。途切れかけの意識で戦う亜久津の姿は大きく胸を打った。そんな中、アマデウスが先ほど見せた影しか見えない打球を放つ。
「決勝トーナメントで会おう、ビョードーイン！」
「キサマ誰と戦ってんだ！！」
叫びながら亜久津は影を捉えた。そして雄たけびを上げながらそれを返球する。ボールはコートを越えて観客席の壁に当たった。衝撃による亀裂とボールの風圧で、客席は今にも吹き飛びそうだ。客席に居る観客が危ない、そう思われたが、そこには鬼、大曲、種ヶ島、デュークの姿があった。
あわてて確認すればいつの間にか傍に居たはずの種ヶ島がいない。そしてその4人によってボールは勢いをなくし客席はどうにか形をとどめた。
「客席フッ飛ばす気ぃかいな。」
「お頭の指示がなかったら危なかったですなあ。」
けたけたと笑う種ヶ島とデュークの様子にほっと息をついたのも束の間、突然体を駆け巡るような何かを感じた。そこにいる鬼も驚きに表情を染めてコートを見ている。そこに立っていた亜久津の姿を見て、感じた何かの正体を見つけた。
「第8の意識『無没識』……。」
無没識、それは心の弱さに一切影響を受けない状態。脳からの指令を伝達する速度が通常の3倍以上早くなくては体現することはできない境地だ。
10年に1人と言われた亜久津の才能を改めて感じると同時に相変わらず頭を抱える。一体何度彼らとの差を痛感すればいいのか、あと何度確認する瞬間が訪れるのだろう。そう思えば頭こそ痛いものの、結局のところわくわくしてしまうのだ。
亜久津は無没識で遂にはアマデウスにデュースのところまで迫った。世界ランク的にも高くない日本の中学生がプロから1ゲームを取ろうとしている、その事実に会場は騒然とする。
「お前はもう俺からポイントを奪うことはねえ。」
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紗菜 - アニメがまた、スタートするのでこちらも更新されるのをお待ちしています。 (2月15日 19時) (
レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき - 続きが楽しみです (2021年9月22日 0時) (レス) id: 09253d858e (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 素晴らしい作品！夢主ちゃん格好可愛いすぎます！ (2021年1月3日 15時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
巫和泉(プロフ) - コメント失礼します！読んでいて，とても面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年1月4日 18時) (レス) id: c314aa38cf (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 更新待ってます!続きが楽しみです。 (2019年11月7日 8時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2019年3月18日 0時
